また、今回の改正では、残業など所定外労働の免除を制度化したり、小学校就学前の子どもを看病するための看護休暇を拡充するなどして、労働者の仕事と子育ての両立を支えている。
「さらに、3歳未満の子どもを持つ労働者に、1日6時間を上限とする短時間勤務を認めることが会社の義務となった。裁量労働制やフレックスタイム制の従業員にも適用される」(同)
イギリスのブレア元首相が、生後間もない息子のために2週間の育児休暇を取り、世界中に衝撃を与えてから10年あまり。今年4月には、東京都の文京区長が、やはり2週間の育児休暇を取得して話題となった。
ただ、政治家の育児休業がニュースとして伝えられるのは、それが「珍事」だからだ。諸外国の育児休業制度は、どのような現状なのだろうか。
「フランスやドイツでは、子どもが3歳になるまでに最大3年間の育児休業を認め、保護が手厚い。こうした海外の事例が、今回の育児・介護休業法改正で参考にされた可能性がある」(同)
さらに、フランス、イギリスなどでは、育児休業とは別に、それぞれ2週間程度の「父親休業」なる制度がある。
ところで、法律とは離れるが、そもそも、勤勉民族の日本人にとって、育休の取得を後ろめたくさせている根本的な原因は、育児休業の「休」という文字にあるのではないかと思える。
ドイツでは、育児休業のことを01年から「親時間」と呼び替えている。制度を広く普及させるには、うまいネーミングも助けとなるのかもしれない。
(高橋晴美=構成 ライヴ・アート=図版作成)