割れ窓理論が、心理的に「入りやすく見えにくい場所」を重視するのは、「悪のスパイラル」「悪のエスカレーション」というメカニズムを前提にしているからだ。それは、公共空間の乱れやほころびといった「小さな悪」が、いつの間にか、犯罪という「大きな悪」を生み出してしまう心理メカニズムのことである。

「小さな悪」が放置されていると、人々の罪悪感が弱まり、その結果、「小さな悪」がはびこるようになり、そのことが、犯罪が成功しそうな雰囲気を醸し出し、凶悪犯罪という「大きな悪」を生み出すのだ。したがって、落書きや散乱ゴミなどの「小さな悪」を見かけたら、見て見ぬ振りをせず、きちんと対応することが必要である。そうすれば、人々の罪悪感の低下を防ぎ、犯罪が成功しそうな雰囲気を漂わせないこともできる。

広島、栃木の事件現場にもシグナルが

事件現場の中にも、割れ窓理論が重視する、心理的に「入りやすく見えにくい場所」に該当する場所がある。冒頭で触れた広島と栃木で起きた女児殺害事件は、その典型例だ。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
【関連記事】
「性犯罪者は全員死刑でいい」そう言って母は息子の性器に手を伸ばした…表に出ない「息子を襲う母」のリアル
ベンツの修理代を親が全額負担するハメに…Z世代で流行中の「電動自転車、キックボードより危険な乗り物」
天才絵師の最期はあっけなかった…「べらぼう」で染谷将太演じる歌麿の転落の契機となった絵に描かれた人物
「三菱商事"採用大学"ランキング」を見れば一目瞭然…学歴社会・日本で成功に必要な「出身大学の最低ライン」【2024上半期BEST5】
「頭のいい子が育つ家庭」の食卓には出てこない…朝ごはんのパンに塗りがちな「脳に悪影響でしかない食品」とは