割れ窓理論が、心理的に「入りやすく見えにくい場所」を重視するのは、「悪のスパイラル」「悪のエスカレーション」というメカニズムを前提にしているからだ。それは、公共空間の乱れやほころびといった「小さな悪」が、いつの間にか、犯罪という「大きな悪」を生み出してしまう心理メカニズムのことである。
「小さな悪」が放置されていると、人々の罪悪感が弱まり、その結果、「小さな悪」がはびこるようになり、そのことが、犯罪が成功しそうな雰囲気を醸し出し、凶悪犯罪という「大きな悪」を生み出すのだ。したがって、落書きや散乱ゴミなどの「小さな悪」を見かけたら、見て見ぬ振りをせず、きちんと対応することが必要である。そうすれば、人々の罪悪感の低下を防ぎ、犯罪が成功しそうな雰囲気を漂わせないこともできる。
広島、栃木の事件現場にもシグナルが
事件現場の中にも、割れ窓理論が重視する、心理的に「入りやすく見えにくい場所」に該当する場所がある。冒頭で触れた広島と栃木で起きた女児殺害事件は、その典型例だ。
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当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら


