仕事と家事育児の両立は大変だ。少しでも楽にできないのか。スウェーデンに住むデータサイエンティストの佐藤吉宗さんは「スウェーデンの共働き世帯は、食事の準備には時間と労力を極力かけない。パスタとミートソースのような一品料理が典型的だ」という――。

※本稿は、佐藤吉宗『子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人』(日経BP)の一部を再編集したものです。

ホットドッグ
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子育てと仕事の両立における日本との違い

スウェーデンにこれまで暮らしてきて、子育てと仕事の両立を実現している同僚たちを見ながら、日本と何が決定的に違うかを考えてみると、それは、性別に関係なく働きやすい労働環境が整備されていること、そして、男性も積極的に家事・育児をしていることだと感じる。

わが家では平日は私が息子を学校に送り迎えし、夕ご飯の準備をしているが、他のスウェーデンの家庭でも男性が当然のように積極的に家事・育児をする。

わが家は家の近くに家庭菜園を借りている。40ほどの世帯で協同組合をつくり、自治体が用意した4000平方メートルほどの土地を分割して、それぞれが自家消費用に野菜や花を育てている。私はその組合の役員をしており、ある平日の夕方に役員の仕事が入ったことがあった。

隣人の夕食は「ホットドッグ」だけ

私のパートナーは18時半頃にならないと仕事から帰宅しないため、当時保育所に通っていた息子を、彼のクラスメートの家に2時間ほど預けることになった。クラスメートの家族が住むアパートと私たちのアパートの建物とは隣同士で、互いのバルコニーから手を振って挨拶できるほど近い距離にある。

私が保育所帰りの息子を預けに行くと、その家の父親は2人の子どもと電車のおもちゃで遊んでいる真っ最中だった。チャーター旅行を企画する会社で働く彼はその日の在宅勤務を終えた後に子どもを保育所に迎えに行き、パートナーが仕事から帰ってくるまでの間、子どもの面倒を見ていたのだ。

私が役員の仕事を終えて息子を迎えに行くと、ちょうどこれから夕ご飯を食べようというところだった。その日の夕食はいたってシンプルでホットドッグ。お言葉に甘えて私も一緒にごちそうになった後、子どもたちと遊びながら世間話をしているうちに彼のパートナーが仕事から帰宅した。

このように、男性が育児や家事をしている光景というのは、実はスウェーデンではあまりに当たり前すぎるので、あえて特筆しようとすると私自身は滑稽に感じてしまう。