※本稿は、早坂信哉『医師が教える温泉の教科書』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
「医学的に正しい入浴法」4つのポイント
入浴の7大健康作用(1温熱作用、2浮力作用、3水圧作用、4清浄作用、5蒸気・香り作用、6粘性・抵抗作用、7開放・密室作用)を得る入浴法は、「毎日」「40℃」「10分間」「全身浴」が基本です。高温浴・長時間入浴では、自律神経の交感神経が刺激されるため、副交感神経を刺激してリラックス効果を高めるには、38~40℃のぬるめのお湯に浸かることが大切です。
医学的に正しいのは40℃までで、注意が必要なのは42℃。では41℃は? というと、ギリギリですが悪くはありません。消費者庁では、「お湯の温度は41℃以下」と注意喚起しています。しかし、41℃だと血圧が上がったり、脈が速くなったりするという報告もありますので、私はより安全な「40℃以下」を推奨しています。
一方で、毎朝シャワーを浴びる習慣がある人は、42℃の熱いお湯に設定することで仕事のスイッチが入りやすくなります。このように、お湯の温度により自律神経をコントロールするのも1つの方法です。
入浴は「10分間」が基本ですが、時計をもって入浴するのが難しい場合は、「額にうっすら汗をかく程度」を目安にしましょう。特に温泉は自宅のお風呂よりも温める作用が強いので、息苦しさを感じる前に出ることが大事です。
お風呂にダイエット効果はある?
半身浴やサウナで汗をたくさんかくと痩せると思っている人は多いですが、実はダイエットにはつながりません。あくまで、外から熱をもらって発汗しているに過ぎず、自分の脂肪を燃焼させているわけではないのです。失われるのはカロリーではなく水分なので、ダイエット目的の長湯は避けましょう。
それ以外の点においても、一時期流行した半身浴に、特筆すべき健康効果はありません。むしろこれまでに説明した温熱作用、浮力作用、水圧作用などはすべて半分の効果しか得られないことになるため、肩まで浸かる「全身浴」をおすすめしています。
一方で、半身浴では静水圧が減少するので、心臓への負担は少なくなります。肩まで浸かると息苦しさを感じる人は、半身浴にしてもいいでしょう。なお、シャワーだけで済ませること自体にリスクはありませんが、体が十分に温まらないので、この本で述べたような介護、うつ病、心筋梗塞、脳卒中などの予防効果は期待できないと考えられます。

