自宅のカーペットの縁でつまずきそうになる。反動をつけないと、寝床から一気に起き上がれない。そんな人は、下半身の筋力が衰えているかもしれない。たった3秒の筋トレで、今すぐ筋力を若返らせよう。

年1%のペースで筋力が低下している

「自分は大丈夫だから」
「まだ体は動くからいいよ」

高齢者のご夫婦のケースで、妻の側から一緒に体操教室へ行かないかと誘ったところ、ほとんどの夫が口にする返事がこの2つだそうです。

理学療法士である私は、65歳以上の高齢者の方を対象にした20〜30人規模の体操教室を3カ所で主催しています。面白いことに、その参加者の大半を女性が占めています。男性がいても自分の意思ではなく、奥さんに引っ張られてしぶしぶ参加した人ばかりなのです。

中高年の男性の場合、学生時代に運動部に所属して体を鍛えていたり、日々の仕事で外を出歩いていたりしていたことから、身体能力に自信を持っている人が少なくないようです。でも、そうした自信は実に心許ないものでしかありません。

その象徴的な事例であるのが、子どもの学校の運動会です。種目の一つに、親御さんによるリレー競走が組み込まれることがあります。「若いときから走ることには自信がある」と言って勇んで参加したものの、途中で足がもつれて前に転倒する40代のお父さんが意外と多いのです。先に衰え始めた下半身が、上半身の動きについていけなくなったことが原因の一つです。

筋肉の機能(筋機能)のピークは、一般の人なら20〜30代に迎えます。その筋機能は、運動不足だと30代以降では年1%低下することがさまざまな研究で明らかになっています。そのため、40代の方々は、20〜30代のピーク時と比べて10〜20%ほど筋機能が低下していることが多いのです。それも「衰えは足腰から」と言われるように、下半身の筋機能の低下が先行します。

つまり、学生時代に体を鍛えていても、社会人になってから意識して運動を続けていかないと、筋機能の低下が始まります。年を重ねると、多少は頭の髪が薄くなったり、シワが増えたりするもの。とはいえ、日常生活に大きな支障はありません。一方、筋機能が衰えると、次第に体の自由がきかなくなって、老後に寝たきりの介護状態に陥ることもありえます。そうなると筋機能は、わずか1日で1%低下していきます。

健康寿命と平均寿命との差は、厚生労働省のデータによると2022年において男性で8.48年、女性で11.64年です。その間は、不健康で自由のきかない状態での生活になります。現役時代に一生懸命に働き、リタイアしたら好きなことをするためにお金を蓄えていても、文字通り「宝の持ち腐れ」になってしまいかねません。

あなたは片脚で椅子から立ち上がれるか

このように話すと、40〜50代の現役組の皆さん、60代以上のリタイア組の皆さんともに、気になるのが自分の筋機能の状態でしょう。そこでチェックしていただきたいのが、筋力チェックリストにある5つの項目です。一つでも思い当たったら、筋機能が衰えている疑いがあります。

【図表1】筋力チェックリスト

まず40代の方であれば、少なくとも楽々できてほしいのは、片脚での椅子からの立ち上がりです。「そんなの簡単だ」と思う人でも、実際にやってみるとできない人が少なくありません。40代ともなれば、キャリアアップして中間管理職に就く人が多くなります。そうなるとデスクワークが多くなって、一日中座りっぱなしとなり、足腰の筋機能が次第に衰えていきます。