「夏休み」とは、法的にはいったい何だろうか。
「実は、法律上の位置づけはあいまいなままにしている会社が多いのです」(労働問題に詳しい向井蘭弁護士)
法律上、休みは「休日」と「休暇」に分かれるが、夏休みがどちらにあたるのか、それすらはっきり決めていないところがほとんどなのだ。そもそも休日や休暇とは何なのか。
「休日は、労働者側から見るとそもそも働く義務のない日。一方、休暇は労働者の権利であり、休むか休まないのか、いつ休むのかといったことに関しては、労働者側がイニシアチブを持っています」(同)
休日には、法定休日と法定外休日がある。法定休日は、会社が労働者に最低限与えなければならない休日だ。具体的には労働基準法35条によって、毎週少なくとも1回の休日、あるいは4週間に4日以上の休日を与えることが使用者に義務づけられている。たとえば土日が休日の週休2日なら、土日のどちらか1日が法定休日になる。
その他の休日は法定外休日。法定外休日がゼロでも法律に抵触しないが、休日を週2回にしたり、祝日や年末年始を休日として就業規則に定めている会社が多い。法定休日と法定外休日を合わせて所定休日という。
休暇も2種類ある。雇用契約上または就業規則上の休暇と、法律で定められた年次有給休暇だ。前者は慶弔休暇や結婚休暇などで、後者の年次有給休暇は、フルタイム勤務の場合、継続勤務年数によって最低でも年に10~20日発生することが定められている(労基法39条)。