知的生産のパフォーマンスを高めるためにはほかにも条件がある。アイデアが浮かびかけたときに邪魔が入ると、思考が中断されて混乱し、潜在意識がしてくれた下準備が台なしになる。そのためアイデアの誕生を待つ時間は、なるべく邪魔の入らない時間帯がいい。
朝シフトは、「忘れる時間をたっぷり取れる」「アイデアの誕生を待つ間、静かに集中できる」という2つの条件を満たすことができる時間サイクルなのだ。それゆえ生産性も高まるのである。
また、6倍の生産性を手に入れることで、仕事以外の人生も充実してくる。私の場合、端的に変わったのは、家族と過ごす時間だ。もともと一緒にいたいから家族になったのに、残業ばかりしていた時代は一緒に過ごす時間を確保できずにいた。しかし、いまは7時すぎには帰宅して、ともに食卓を囲んでいる。家族と一緒に過ごすというあたりまえの幸せを、ようやく実感しているところだ。
ライフワークである写真や合唱にもよい影響が出た。写真や合唱の活動は週末中心だが、これまで平日に仕事が片づかず、土日も仕事で潰れるケースがあった。いまは週末に思う存分好きなことができている。
ライフワークの幅も広がった。私は「ビジネスパーソンはもっと積極的に社外に情報発信すべき」とつねづね考えており、アイティメディアのオルタナティブ・ブログでブログを書いている。朝時間や休日を活用し、本も4冊執筆した。
これらを実践できるようになったのも、朝シフトで効率的に仕事を処理し、ライフワークの時間を確保したからだ。