物価高が続く中、冬に向けて気になるのは光熱費の負担だ。消費生活アドバイザーの和田由貴氏は「電気・ガス料金の負担軽減支援事業が終了する10月以降、光熱費の負担が重くなる見込み。そもそも、夏よりも冬のほうが光熱費が高くなりやすいため、これからの光熱費対策が家計を楽にする」という――。(取材、構成=ライター・宮原智子)
電球、財布、コイン、ミニチュアの家
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支援事業の終了で光熱費の負担増は必至

やっと秋らしさが感じられるようになったものの、今年は例年よりも厳しい暑さが続いています。エアコンをフル稼働せざるを得ない状況で、多くの家庭では光熱費の負担が重くのしかかっているのではないでしょうか。

2025年7〜9月の3カ月間、政府は「電気・ガス料金負担軽減支援事業」を実施し、光熱費の負担軽減を図ってきました。割引額は、電気代1kWhあたり2〜2.4円、ガス代1m3あたり8〜10円。標準的な家庭では月800円〜1000円程度、3カ月で約3000円が電気代の合計金額から割り引かれる計算になります。

この支援事業は10月以降に終了する予定です。厳しい残暑が予想される今秋は、10月に入ってもエアコン代による電気代の高止まりが続く可能性があります。また、冬場は暖房費が加わるため、光熱費トータルで考えると夏場よりも負担が大きくなります。

さらに、再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)の値上がりにより、今年のほうが負担額は増えているのが現状です。万が一世界情勢が不安定になったり、為替に大きな変動があったりした場合、燃料費調整額も上がらないとは限りません。

支援事業終了後に備え、今こそ節電対策に取り組む時期といえます。

電力消費量の多い家電から攻略すべし

家庭内での電力消費量を多い順に並べると、1位:エアコン、2位:冷蔵庫、3位:照明器具、4位:テレビとなります。ただし、洗濯乾燥機の乾燥機能を頻繁に使う家庭では、洗濯乾燥機が上位に入ってきます。

電気代を節約するには、ここに挙げたような電力消費量の多い家電から対策をすると効率的です。

【エアコン】断熱対策で効率アップ

ポイントは「窓の対策」

エアコンの節電で最優先すべきなのが、部屋の断熱対策です。夏場は室温を低く、冬場は高く保つことで、エアコンの消費電力を抑えることができます。

室温に大きな影響を及ぼすのは、「窓」です。夏場に部屋が暑くなる原因の約7割は、窓から入る熱だと言われています。この熱を防ぐには、カーテンを閉めるだけでは不十分です。大切なのは、窓自体から放たれる輻射熱を防ぐこと。すだれやサンシェードなどを使い、窓の外側から日射を遮る工夫をします。

窓に掛けたすだれ
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反対に、冬場は窓の内側から外側に熱が逃げていきます。そのため、カーテンを厚手に変えたり、窓の内側に断熱シートを貼ったりして、熱が逃げないようにします。また、カーテンの裾と床の隙間は丸めたタオルやクッションなどで埋めて、冷気が入らないよう工夫しましょう。

窓を二重サッシにするなど本格的に断熱対策をしたい場合には、国の補助金を活用した窓のリフォーム(「先進的窓リノベ2025事業」)を検討してみてはいかがでしょうか。1戸につき最大200万円の補助を受けられる場合があります。