アントレプレナーシップ教育が孕むリスク

つまり、ビジネスにおける「真っ当」と「グレー」の境界は、世の中で思われているほど明確ではないのです。大学のアントレプレナーシップ教育においても、倫理的に危うい指導が横行しかねないという懸念の声は根強くあります。実際に、イエール大学のカイル・ジェンセン教授は『The Ethics of Entrepreneurship Education(起業家教育の倫理)』という著作で、アントレプレナーシップ教育に潜むリスクや問題点を数々指摘しています。

Z世代の若者は「素直に行動しただけ」

法律や常識からの逸脱もリスクとして孕む起業家という存在が礼賛されるなかで、怪しいビジネスに走るZ世代の若者をこのような立場から非難できるでしょうか。

むしろ、彼らや彼女らは、年長者や社会の側が求めていることを素直に実行しているとも言えます。就活において「ガクチカ」という曖昧な判断基準で学生を選別しているのは企業です。日本の社会や経済のためと、若者に起業を促す年長者も少なくありません。就活への過度なコミットメントや非現実的な成長を煽られて、怪しいビジネスに足を踏み入れている側面は確実にあります。