当初は香港と台湾の問題だったが…

香港の大規模な抗議運動のきっかけになった中国本土への容疑者引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案が、とうとう撤回されることが発表された。

逃亡犯条例改正案撤回の経緯について説明する林鄭月娥行政長官(2019年9月5日)。(ロイター/アフロ=写真)

2019年9月4日、香港政府のトップ、林鄭月娥行政長官はテレビ演説で「香港政府は正式に条例改正案を撤回し、市民の懸念を完全に解消する」と述べて、立法会(議会)に提案した改正案を取り下げる手続きに入ることを表明した。

香港政府が逃亡犯条例改正案を立法会に提出したのは19年4月3日。改正案の撤回を求める抗議運動の大規模化を受けて、林鄭行政長官は立法会での審議延期、つまり事実上の廃案を表明したが、「撤回」までは踏み込まなかった。

その後も抗議運動の勢いは増す一方で、デモ隊は200万人規模にまで膨れ上がった。香港市民700万人のうち200万人がデモに参加したのだ。一部が立法会や空港を占拠したり、無許可のデモを決行するなど過激化、警官隊も催涙ガスやゴム弾、放水車などで応戦して、衝突は激化してきた。19年9月に入っても授業をボイコットした高校生や中学生が集会に参加するなど、デモの規模はますます広がっている。