遺伝的ルーツを知るだけで人間は激変する

「おまえらこれからインド人バカにしたら張り倒すからな!」

大学の時、親友のT君がいった言葉を思い出す。T君は近畿出身の日本人なのだが、どうやら久しぶりに実家に帰省したところ、父系祖父がインド人船長だったと明かされたそうである。

写真=Penta Press/時事通信フォト
ソウルの日本大使館前で抗議集会=2019年8月3日、ソウル

もともと彼は日本人純血主義者だったのだが、それからインド人に関しては見方が一変してしまった。今ではインド出張にいくたびに、「現地のタクシー運転手に現地語で話しかけられた!」と、うれしがる。異国由来の遺伝的ルーツを知るだけでここまで人間変われるものか、と私は感心したものである。

筆者の経営する投資ファンド運営会社「ミッション・キャピタル」では、Genoplan(ジェノプラン)という米国遺伝子ベンチャーに投資している。消費者の唾液を採取するだけで、リスクの高い疾患や生活習慣病の遺伝的傾向を460以上の項目にわたり解析し、パートナー企業を通じて適したヘルスケア商品などを提供する優良ベンチャーだ。日本にも今年本格参入し、本稿を執筆している今、私は米国カリフォルニアまで共同投資家のVCに会いにきている。

一方、ここカリフォルニアの突き抜ける晴天とはちがい、日本と韓国は外交問題で雰囲気がどんよりだ。つい先日も、久しぶりに会った先輩から「おまえんとこの大統領どうなってんだ!」と突っ込まれて面食らってしまった。