2019年秋、三井不動産が東京・日本橋に商業施設「コレド室町テラス」を開く。目玉は台湾から初上陸する「誠品生活」。米タイム誌で「アジアで最も優れた書店」に選ばれた店で、蔦屋書店のモデルといわれている。この記事のために台湾を訪ねた経営コンサルタントの竹内謙礼氏は「誠品生活は体験型の店作りに特徴がある。これなら『また蔦屋書店か』とは思われないだろう」と分析する――。
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「蔦屋書店のパクリじゃないか」

2019年の秋、日本橋に「コレド室町テラス」がオープンする。地上26階、地下3階の低階層ビル。そのうち商業施設が占めるのは地下1階から地上2階まで。約30店舗のテナントが入る予定で、“目玉”として注目されているのが日本初上陸となる台湾の「誠品生活」である。

書籍の販売を中心に、雑貨、食品、アパレル品を販売し、レストランなども備える。店内では木工教室や革製品作りなどのワークショップが開催されて、買い物以外の“コト消費”を狙ったイベントも多数開催されるという。

このコンセプトを聞いた時、私の頭の中を「蔦屋書店」がよぎった。書籍を中心にさまざまな商品を取り扱い、店内で有意義な時間の過ごし方を提案する手法は、まさに蔦屋書店そのもの。「パクリじゃないか」と一瞬思ったが、それもそのはず、実は蔦屋書店のほうが誠品生活を参考にして作られた店舗であり、蔦屋書店のベースとなっているのが誠品生活なのである。

それならコレド室町テラスに出店するのは「蔦屋書店でいいじゃないか」と思った。聞くによるとコレド室町のデベロッパーの三井不動産は、誠品生活を日本に誘致するために4年の歳月をかけたという。そんな大変な思いをするのであれば、蔦屋書店を口説いたほうが、話が早いのではないか。

台湾の誠品生活に行ってみた

なぜ、蔦屋書店ではなく、わざわざ台湾から誠品生活を誘致する必要があったのか。2~3日悩んだが結論が出ないため、思い切って台湾の誠品生活に行くことにした。年末の仕事に追われていることもあって、取材に捻出できたのは1日のみ。朝5時羽田空港発の夜中1時帰りの日帰り弾丸取材。原稿料から交通費を差し引けば大赤字である。なんでこんな原稿執筆を引き受けてしまったのかと後悔しながらも、自宅を朝2時にクルマで飛び出して羽田空港に向かうことにした。

台湾の桃園国際空港に到着したのは午前9時半。そこから電車に乗り継いで1時間ほどのところに誠品生活松菸店はある。1階はアパレルの販売店、2階が生活雑貨、3階が書店といった構成。正直なところ、雰囲気は二子玉川にある蔦屋家電と変わらない。元祖が誠品生活のほうだと知らない人が見たら「ここって蔦屋書店だよね?」と言ってしまうぐらいそっくりである。