今年2~3月の株価急落を受け、将来にネガティブな見通しをもつ投資家が目立つ。しかし、経済評論家の菅下清廣氏は、「このような暴落は後から振り返れば絶好のチャンスだったことが多い。2030年まで上昇の大波は続くとみられ、これから不遇の時代を迎えるサラリーマンこそ、このマネーバブルに乗るべきだ」という。菅下氏が説く「お金の教養」の中身とは――。

※本稿は、菅下清廣『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』(KADOKAWA)を再編集したものです。

上昇トレンド途上の急落こそ好機!

2018年3月23日、週末の金曜日、日経平均株価は一時1000円超の下げ、結局974円安の2万617円で引けました。マイナス4.51%。その日のNYダウも続落。424ドル安の2万3533ドルと、日米の株価が大幅安を記録しました。米国トランプ大統領による対中国への高関税発令が、世界貿易戦争の始まりと受け取られて、世界同時株安を引き起こしたのです。

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こんなときに、株高時代に知っておくべき「お金の教養」があるといえば、「もう遅いのでは? これからは株高どころか、株価下落の時代が始まっているのでは?」と思う方も多いかもしれません。

たしかに、このまま米中が互いに相手国製品に関税をかけるということになると、当面株価は下落。世界景気の後退につながり、日本の輸出にも大きなマイナスとなるなど、株価の弱気材料がいろいろと想定されます。だから、今は多くの投資家が弱気になって、株を売っているのです。

しかし、冷静に世の中を見渡してみてください。米国景気は利上げしなければいけないほど絶好調。日本の企業も好業績が予想されています。米国トランプ大統領も日本の安倍首相も、経済政策のカジ取りは間違っていない。

日本経済は20年に及ぶデフレ不況を乗り越えて、今、出口に向かっています。雇用も増え、株価も上がっています。この日米の上昇トレンドには、いささかの変化もないのです。

2018年の今、私たちが目にしているのは、2008年のリーマンショックのような世界的な規模の災難ではありません。いずれ米中関係も落ち着きを取り戻すでしょう。

今回のような暴落は「後から振り返ると絶好の投資チャンスだった」というのが、私の有力な経験法則です。それに、目先の株の乱高下にかかわらず、これからの日本では、“お金の教養”なくしては安心して眠れません。豊かで楽しい老後生活も期待できません。また、若い世代の人々にとっても、投資で資産を築くことが明るい未来を描く最良の手段であると、私は確信をもっていうことができます。

目先の株価の乱高下を過度に恐れることなく、この動乱の時代を、「株について勉強し、お金の教養や投資頭脳を磨くきっかけ」にしてほしいのです。

2030年まで上昇の大波は続く

2018年5月現在、日経平均株価は2万2000円超。これはかつての低迷を思えば、見事な復活といえます。バブル崩壊以降の「失われた20年」の間には、7054円という歴史的な安値を記録したこともありました。

それが、ここまで復調したのはなぜか。ひと言でいえば、アベノミクスの効果です。2013年4月から「異次元の金融緩和」が始まり、2015年6月、日経平均株価は2万円を突破。では、この後はどうなるか。

さらなる好況の波が押し寄せると、私は見ています。

2018年9月には自民党の総裁選が行われます。おそらくは安倍首相が3選し、デフレ脱却政策が進められていくでしょう。そうなれば市場は活気づき、株も上がるのは必定です。投資家は「政治(政局)」を大いに重視します。政権が安定すると見れば、積極的に投資します。