孫正義の遺伝子を受け継ぐ精鋭部隊は、どんな言葉や態度で相手の信頼を勝ち取るのか。営業先の証言を集めた。

「自分、LINEゲームの『ポコパン』に似ているって言われているんですよ。これから僕のことはポコパンと呼んでくれていいですから」
「そ、そうですか」

ガリバーインターナショナル(以下ガリバー)でデジタル集客を担当する青木隆浩(31歳)は、ソフトバンクの営業マンが初対面から親しみやすいのに驚いた。しかも、彼は確かにそのキャラクターに似ている。

ガリバーインターナショナル ガリバー事業推進チーム 青木隆浩氏

「思わずクスッと笑ってしまいました。日本を代表する大企業の社員なのに、冗談を連発して話しやすい場の雰囲気をつくってくれます」

誰もやらない、だからやりたい!

いま、青木はWebサイトから顧客をガリバーの各店舗に誘導する仕組みづくりに注力している。「車買取」などの検索ワードからガリバーのホームページを見る人が増えるように工夫し、ネット上でアンケートに答えてクーポンを取得した顧客に、コールセンターを介さずに店舗に来てもらう仕組みだ。オンライン・トゥ・オフライン(以下O2O)と呼ばれる手法であり、日本でも少額商品を扱うコンビニなどで使われつつある。

しかし、取り組みを本格検討し始めた2年前は、高額商品である自動車に導入するのは時期尚早という声が多かった。

「ガリバーはベンチャー・マインドのある会社です。誰も取り組んでいないからこそやりたい、という意思が私たちにはありました」

青木が話を持ちかけたのは4社。なかでも抜群に話しやすくて意欲的だったのはソフトバンクだった。「やってみなくちゃわからない、というベンチャー精神に共感しました」。