マクロ経済は一見、多くの人にとって直接の関係はないように思えるかもしれません。しかしそれぞれの仕事の周りには業界があり、その周りにはマクロ経済が存在しています。

まずは日経の「景気指標欄」に登場する主要数字をメモし、それと照らし合わせながら、自分の業界に関する記事や関心のある記事を読むことから始めてみてください。次第に内容の本質が見えてくるようになるはずです。そうすれば、おのずと関心の幅も広がっていくでしょう。

深い読み方を身につけるには、習慣化しかありません。私は毎朝、通勤電車のなかで日経を読んでいます。時間にすると22分。読む時間が足りない場合はオフィスで読んだり、カバンに入れて移動中に読んだりします。

新聞一面のトップ記事は必ず読む。政治面や国際面の記事は、中身は読まなくとも必ず見出しにはすべて目を通す。忙しくてどうしても読めなかったら、潔く諦め、翌日に持ち越さない。これが継続する鉄則です。

「新聞力」チェックテスト

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チェックテストの新聞記事

あなたは、赤字に苦しむ地方メーカーの経営者です。図の記事から、何を読み取り、どのような黒字化案を考えますか?

【ヒント】量的緩和の米国金利、日本経済への影響は?

「2月29日に米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受け、量的緩和第3弾(QE3)の実施は遠のいたと受け止められた」という一文に注目しよう。普段新聞を読んでいる人なら、量的緩和の実施が長期金利に低下圧力をかけることを理解しているはずだ。前提知識があれば、米国の長期金利は当面上がらないだろうという予測が立つ。そこから、日本経済にどういう影響が出るかを考えてみよう。

解答例:多少の動きはあるものの、当面は現水準の円高が続くと予測できる。海外への輸出は今後も厳しいと考えられるため、製造コストの削減を目指し、海外工場設立の検討を始める。

小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶
1957年生まれ。京都大学法学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院にてMBA。96年より現職。『日経新聞の数字がわかる本』『本質をつかむ思考力』など著書多数。
(構成=宮内 健 撮影=市来朋久)
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