その揚げ句、「落ち着いて勉強する部屋はなく、幼い弟妹の世話をして1日が終わってしまう」「働いている母親に代わり、家庭の食事はすべて自分が作るかコンビニ弁当」「アルコール依存症の親が突然暴れだすので、家に帰れず公園で時間を過ごしている」「中学校には行ったけど、給食だけ食べて帰ってきた」と話す子どもがたくさんいるという。

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世帯年収と児童の学力の関係/世帯年収と児童の学力の関係

生徒たちの親はおおむね中卒か高校中退であり、子は勉強どころではなく高校進学を考える余裕すらない家庭環境に置かれている。さらに健康不安なども重なって将来への希望をまったく持てなくなった子が多い。徳澤氏はこう嘆く。

「経済的に余裕がないからか、学校に対するいい思い出がないからなのか、単に無自覚なのか、家事もやらず子を勉強に向かわせる気がない親が少なくないですね。また、離婚をしたことで精神疾患を抱えている母親もいる。家庭を訪問すると、部屋が片付けられていなかったり、流しが洗い物でいっぱい、という家庭もあれば、机がなく万年床の上だけが自分のスペースという子もいます。明日が子どもにとって大切な期末テストや中間テストだというのに、自分の買い物に平気で付き合わせる母親までいます」

子どもの進路に関わる担任の先生との三者面談に出向くことを拒絶した母親もいるという。その親は中卒だった。父母が離婚してどちらも家を出てしまい、祖父母に引き取られて生活保護を受けている子もいる。やはり、彼らを生むのは低学歴ゆえに子どもの教育に無自覚としかいいようのない親たちなのだ。

高校進学を経済的な事情で断念したり高校を中退した人に無料で勉強を教え、高校卒業程度認定試験(旧大検)の合格を目指している塾がある。元教員の行方正太郎氏が08年に設立した自主夜間学校「蛍雪義塾」だ。埼玉県川口市に教室があり現在は週2回、15人が通う。2年間でのべ100人が受講しているが、年齢は25から35歳と高めで7割が女性だ。受講生の大半がひとり親世帯で育ち、20歳までに結婚して離婚しているという。