子供のほうは自分が頑張ればいいのか、無理しなくていいのかがわからなくなり、とても中ぶらりんな気持ちになった揚げ句、受験にも失敗しやすい。

地元塾だけに頼らず、大手塾主催の模試や夏期講習なども受けさせ由香さんの実力を相対化してやったり、適切な滑り止め校を選んだりするなど、中学受験を積極的にサポートすることで子供を守る道もあったのだ。

「実は親の心の奥底には教育ママにはなりたくない、周囲からもそう見られたくないという自己愛がある。だからこそ、子供の自主性を装いながら、受験の是非を子供に丸投げする結果にならないよう、心すべきなのです」

テストの点数で合否を決める世界に入っていく以上ある程度受験テクニックは必要だし、子供が一定期間集中的に勉強するには親からの強制力も欠かせない。それが教育ママになったみたいで嫌なのなら、そもそも中学受験をさせてはいけない。

また、受験の失敗理由をきちんと分析もせず、いたずらに高校受験で子供にリベンジさせようとするのも禁物。本人が「自分はダメだ」という気持ちを抱えたまま、いくら次の受験に向かっても、いい結果は得られない。

「まずは、なつきさん自身が受験の進め方をきちんと振り返り、よくなかった点を反省すること。そのうえで、与えられた教材に取り組んだ由香さんの努力を評価してやり、それを本人にじかに話すか手紙で伝えてやる。受かった私立に進むか公立中学から高校受験を目指すかは、そのあとに決めるべきことです」

教える人:小川大介/SS-1代表
中学受験個別指導教室SS-1代表。京都大学法学部卒。大手塾に通う子供の成績を劇的に向上させ、第1志望合格率8割以上の高い指導力に定評がある。『小川式「声かけ」メソッド』(宝島社)など著書多数。
(教える人:SS-1代表 小川大介)
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