米国人はなぜTikTokが好きなのか
TikTokのサービスが停止した場合、利用者に与える影響はかなりのものだ。米国はTikTokのアクティブユーザー数が、世界最大規模の1億7000万人以上と報告されている。米国人が利用するSNSの中で、TikTokは1日当たりの平均利用時間が最も長いという調査結果もある。
TikTokが他のSNSと違う点はいくつもある。
全画面ショート動画に特化して視聴しやすく、おすすめ(For You)のAIアルゴリズムが優れている。「歌ってみた」「踊ってみた」など投稿のハードルが低く、クリエイティブツールが豊富なことも特徴となっている。初めは10代、20代を中心に普及し、現在は幅広い年齢層が利用している。私もお気に入りのワンちゃんの動画を妻と一緒によく観ている。
XやYouTubeとは違う「独自のAIアルゴリズム」
また、コンテンツの拡散にも独自のAIアルゴリズムがあり、X(旧ツイッター)やYouTubeのようにインフルエンサーを介して拡散するモデルとは違う。フォロワー数が少なくても拡散されやすい設計となっているのだ。「寝る前にショート動画を投稿したら、起きたときには世界中で人気者になっていた」というミラクルが起こるのは、この独自のアルゴリズムによるものだ。
TikTokの運営戦略やアルゴリズム設計は、地域を問わない統一的なプラットフォームとして機能しているため、従来のローカルな市場と異なる「世界単一市場」を実現している。
最近は国際会議などで登壇者のプロフィールに、TikTokのフォロワー数が紹介されることが増えている。ビジネスへの影響が大きくなったと筆者は感じている。
米国では有名ティックトッカーが多数いて、各界の著名人がアカウントを公開し、企業も情報発信や広告宣伝のツールとして盛んに利用している。TikTokはもはや経済活動の一部となっているため、いきなりサービスを停止することは困難だろう。