舌は細菌やゴミがたまりやすい

歯の次は舌の話をしたいと思います。

舌の上は粘膜の突起(舌乳頭)で覆われています。長い毛の絨毯のような状態で食べ物などをキャッチし、味蕾と呼ばれるセンサーで味を感じます。

感覚器として優れた役割を果たす舌ですが、溝に細菌やゴミもたまりやすく、口の中の衛生環境が悪い状態では、細菌が繁殖した舌苔が生じます。舌苔は口臭につながり、舌苔の細菌が唾液を汚し、歯に付着すると歯周病に、舌苔の細菌が肺へ侵入すると誤嚥性肺炎にもなります。

口の衛生環境を考えたときには、ハミガキに加えて舌磨きも重要といえるのです。

では、舌磨きはどうやってどれくらいの頻度で行えばいいのでしょうか。

舌掃除は専用の舌ブラシで磨く

口の衛生状態が悪く舌苔が厚くなると細菌の温床となります。歯周病菌は酸素を嫌う嫌気性細菌という種類で、酸素に触れることが少ない舌表面の突起の間の溝の中で増殖しやすいのです。

その舌の状態で食事をしたらどうなりますか?

歯周病菌は食べ物と一緒に胃を通って腸へ到達し、腸内環境を乱すことで脂肪肝、糖尿病、肥満へとつながるのです。しかし、ハミガキをしても舌苔はとれません。舌磨きが必要なのです。

とはいえ、無暗にゴシゴシすると舌を傷つけることになり逆効果です。舌も正しく磨きましょう。

市販の舌ブラシは、ヘラタイプやブラシタイプなどの形状や、シリコン製やプラスチック製といった素材など、いろいろなタイプが発売されています。やさしく磨けるものを選ぶようにしましょう。

舌ブラシの使い方は、奥から手前にこするのが鉄則です。手前から奥にこすると、細菌や汚れが喉の方へ行くので注意しましょう。

①鏡を見ながら舌を思い切り出します。②舌苔のついている部分を確認しながら、舌ブラシで必ず奥から手前にこすります。1日1回、就寝直前に行うと、寝ている間の細菌の繁殖や、唾と一緒に飲み込むことでの誤嚥性肺炎を防ぐことにもつながります。舌磨きを習慣化すると風邪などの感染症の予防にもなります。

ハブラシでの舌磨きは舌を傷つけるので逆効果になります。止めましょう。