首都圏・関西圏と地方では、暮らし方も働き方も違う

郊外や地方にあるショッピングセンターは大都市部にはほぼなく、大都市中心部には活気のある商店街が残っていることも多い。

日常の交通手段にしても、クルマが中心の地方・郊外と電車が中心の都市部という違いがある。

図表2は、「いい部屋ネット 街の住みここちランキング」の個票データや公表されているデータを使って、「日常の交通機関」「よく飲みに行く率」「使っている電子マネー」「19歳免許保有率」「大学進学率」「大学収容率」「一人あたり県民所得」を都道府県別に集計したものである。

各項目は平均+1標準偏差以上のセルは背景黒・白文字(大学収容率は100%以上)、平均-1標準偏差のセルは背景グレー(大学収容率は70%以下)としているが、首都圏の一都三県と関西の京都府・大阪府・兵庫県の傾向が地方とは大きく違うことがわかる。

日常使う交通機関は、首都圏・関西では鉄道が多く、連動して電子マネーも首都圏ではSuicaが多いが、19歳免許保有率は低い。

大学進学率も都市部は高い。当該都道府県の大学進学者に対する当該都道府県にある大学の収容人数の割合である大学収容率が100%を超えているのは6府県しかなく、大学進学率にも大きな差がある。

一人あたり県民所得を見ても、東京都が突出して高く、テレワーク実施率を見ても、一都三県の高さが際立っている。

首都圏・関西の大都市圏では、電車で移動し繁華街や駅前商店街に行き、飲みに行くことも多い。大学進学率も所得も高く、テレワークできるような仕事も多い。

一方、地方では、クルマで移動しイオンモールのような大型商業施設に行き、飲みに行くことは少なく、大学進学率が低い場所もあり、テレワークできるような仕事は少ない。

大都市と地方ではこれほどまでに暮らし方と働き方が違うのだ。

図表=筆者作成

注目すべき「大学収容率」

ここで注目すべきなのは大学収容率と一人あたり県民所得だ。

大学収容率は、その都道府県の大学進学者数に対してその都道府県にある大学でどのくらい学生を収容できるかという率だ。

例えば、もっとも収容率が低いのは長野県・三重県・和歌山県の36%で、大学進学者のおよそ3分の2は県外に進学せざるを得ない。

その一方で、東京都は166%、京都府は184%と突出して高く、宮城県102%、石川県100%、岡山県100%、福岡県100%など100%を超える場所もある。