ショッピングセンターのある街は暮らしやすい
郊外や地方にある巨大なショッピングセンターに対して、否定的な印象を持つ人も多いようだ。「ショッピングセンターが商店街を潰した」「チェーン店ばかりで個性がない」「コンパクトシティに逆行している」といったものだ。
しかし、そうした印象と住民の評価は必ずしも一致しない。
図表1は筆者が企画、設計、分析を行っている「いい部屋ネット 街の住みここちランキング」の個票データを使って、都市部以外の市区町村についてイオンモールのようなショッピングセンターがある街とない街の居住満足度と生活利便性因子を比較したものだ。
この散布図を見ると、居住満足度が同じ場合はショッピングセンターがある街のほうが生活利便性因子の得点が高くなっている。当たり前といえば当たり前だが、地方や郊外に住んでいる人たちは、郊外の大きなショッピングセンターを便利に思っているということになる。
ショッピングセンターがある街のほうが人口増加率は高い
詳しくは、「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2021<総評レポート>」を参照してほしいが、居住満足度が同じ場合には、ショッピングセンターがある街のほうが人口増加率も高くなっている。
そもそも店舗面積1万m2以上のショッピングセンターについて日本ショッピングセンター協会が公表している一覧を集計してみると、1990年以降に開業した施設が施設数で79.5%、面積ベースでは83%を占め、2000年以降に開業したものに限ると施設数で51.1%、面積ベースで59.1%となっている。
一方、1990年代には地方の商店街の衰退が始まっており、商店街の衰退にショッピングセンターは関係ないとは言えないものの、2000年以降に開業したショッピングセンターが施設数でも面積ベースでも過半数を占めることを考えれば、商店街が衰退した後にショッピングセンターがその穴を埋めていったと解釈することもできる。