講師料の減額成功でインセンティブを手に入れた社員

その後、3年経ち、会社の業績は回復(黒字復帰)しました。しかし、講師料は減額されたままで、元の金額に戻すとの連絡は一向にありません。そしていつの間にか、減額の交渉をしてきた担当者は退職していたのでした。

そこで、新たな担当者に、前担当者との交渉内容を訴えるも、「減額のお願いはしたが、会社としては、その期間については約束していない」とのこと。たしかに、減額期間については契約書には記載されておらず、そこは、前の担当者との口約束でした。

これには、2~3年の間だけならばと契約書にサインをした自分に、後悔しきりです。そして、この講師料減額には、金銭的に大きなダメージを負うのでした。

なお、新たな担当者に聞けば、社員の給料減額は半年だけで、すぐに元の給料に戻ったとのことでした。さらには、前の担当者は、外部講師料の減額に成功したとのことで、会社からインセンティブをたんまり受け取っていたことが分かりました。

これを聞いたときは、さすがにモヤモヤでは済まず、裏切られ、騙された気分で、精神的に大きなダメージを負うのでした。

トラブルを未然に防ぐ2つの対策

口約束でのトラブル予防策としては、基本的には以下の2つです。

1つ目は、契約の決め手となる条件も、(口約束ではなく)しっかりと契約書に盛り込む、もしくは別途、書面(念書)・録音などの形でしっかり残す。

2つ目は、契約の決め手となる条件を明記できないのなら、そもそも契約をしない。

それができれば、トラブルは避けられる可能性は高いでしょう。

しかし実際には、人間関係のしがらみや諸々の事情から、それができずに、契約の決め手となる条件は口約束となり、不利な契約をせざるを得ないこともあるでしょう。私自身、今でも、そんなケースはあります。

そこで現実的な対策としては、まずは、その不利な契約でも、精いっぱい頑張ってやることです。残念ながら、(証拠のない)口約束を争っても、契約自体は覆りません。

悔しいところですが、過去をウジウジ悔やむのではなく、現状を認め、そして、その現状でできることを考えるのが、失敗からのリカバリーの鉄則です。

すなわち、口約束をもとにした不利な契約でも、精一杯頑張っていることを(嫌味にならない程度に恩着せがましく)アピールして、新たな仕事や条件改善に結び付けるのです。

実際、講師料減額の件では、新たな担当者に、「○○さん(前の担当者)からは、業績回復すれば報酬は上がる(戻る)との約束なので、今は、この報酬で何とか頑張ります」と、減額された報酬でも頑張っていることをアピールし続け、その見返りとして、希望する案件を優先して回してもらっています。

そして幸い、会社の業績も安定したこともあり、まだ元の報酬には戻らないものの、若干の増額ともなりました。

おそらく、これはアピールしなければ(何も言わなければ)、減額報酬のまま、何も変わらなかったことでしょう。