夫の態度が変わって驚いた
部屋がスッキリしない理由は、とにかく不要なモノが多いこと。収納はギチギチでストック品も多く、使うモノをしまう場所もなかった。そこで、まずは不用品を徹底的に減らしました。
「同じ引き出しでも数日前は必要だったモノが今日はいらなくなったりするんです。本当に不思議です」
同時にやったことは、夫と子どもに「私はこうしたいんだけど、どう思う?」と意見を聞くこと。
「今まで自分だけで勝手にやっていたと気づいて。子どもは自分で決めたことならやってくれるし、夫も自分からは動かないけれど、『何日ならやってくれる?』とアポを取ると動いてくれるとわかりました。これまで、そこをすっ飛ばしていたんですね」
驚いたことに夫の態度も変わりました。
古くなった衣類を処分しはじめたり、モノを運んでいると夫が「持とうか?」と持ってくれたり。また、何年か先だろうと諦め半分に頼んだ大工仕事は、仕事から帰るとすぐにやってくれました。
片づけで会話が増えると、夫が自室にこもる理由が判明します。夫はリビングでゴロゴロしたいのに、ソファが硬いので居心地が悪かったそう。近々、このソファも買い替える予定だとか。
ななさんがファシリテーター役に徹し、家族それぞれがこうありたいと思う部屋を見据えたことで、みんなの気持ちが未来の家に向きました。ななさんは家族のベクトルを見事に合わせたのです。
「片づけが終わった今、夫とは深い話もできるようになりました。学びたいことがあるので相談したら『僕も好きなことさせてもらったし、やってみたら?』と背中を押してくれたんです。ホント、そこまで嫌なヤツじゃなかったんですよね(笑)」
ななさんが片づけをしたらご主人に変化が起きたのはよかったですね。ななさん自身もご主人に対する見え方が変わり、いいところに気づいたのも大きいのではないでしょうか。たとえ家族であっても、他人は簡単には変わりません。一つだけ変えられる可能性があるとしたら、まず自分が変わることです。
「夫がまったく片づけられない人だった」
美樹さんは、夫と5歳・1歳の男の子の4人暮らし。結婚を機に引っ越したときから、まわりの環境も自分の生活も一変しました。
見知らぬ土地で友人もおらず、義実家の自営業を手伝う生活が始まります。早く慣れようと必死だった美樹さんに、衝撃的な事実が判明します。
「夫がまったく片づけられない人だったんです」
美樹さんの夫は結婚前に一軒家を購入して、実家で暮らしながらその家にも自分の荷物を置いていました。2人が生活し始めたときには、一軒家の中はすでにモノでいっぱい。引っ越しのときだけの一時的な状態かと思っていましたが、夫は一向に片づける気配がありません。
「目の前にモノがないと、不安になっちゃうみたいで。夫のモノじゃなくて私のモノでも、捨てると『なんで捨てるんだ』と怒るんです」
家の片づけが原因で言い争いをしたことは、一度や二度ではありません。片づけの問題は、常に夫婦関係の悩みでもありました。
「夫は何回も買い物に行くことを時間のムダだと考えて、ティッシュなどを箱買いするのでストックが山積み。でも、空きボトルとか明らかにいらないモノも捨てないんです」
子どもが生まれてからは子どものモノも増えて、美樹さん1人では管理できなくなってしまい、さらに散らかるように。
「このままじゃ家がパンクしちゃう」と美樹さんは危機感を覚え、生活の基盤を整えるために片づけ始めました。
夫に片づけについて相談すると、一言「興味ない」とバッサリ。美樹さんは、自分と子どものモノを減らして片づけることに集中しました。