「片づけなんかで子どもを育てられるはずがない」

アラフィフのシングルマザーという逆境の中で、もともとの超負けず嫌いな性格が現れました。「小さくて不器用だから」「お姉ちゃんと比べて……」「女に建築は無理」なんて呪いに抑えられてきたかつての「サッちゃん」が、「サッちゃんだってできるもん‼」と、うわぁー! って叫びながら暴れ出しました。

ヨガスタジオでは店長にまで上りつめました。起業するときは、「片づけなんかで子どもを育てられるはずがない」といろんな人に心配されました。心配されればされるほど、「そんなことはない」と証明したくなりました。

信じたのは、ヨガスタジオで相談してくれた女性たちの本音、専業主婦時代の孤独感、仕事と家事と子育て、すべてを背負ったときの閉塞感、問題を先送りにした後悔、片づけで自信を取り戻した経験まるごと。そして負けず嫌いの自分。

全ての苦い経験から、家庭力アッププロジェクト®が生まれました。今では3千人以上の卒業生を出しました(2024年10月現在)。子ども2人は独立し、私自身は2016年、49歳のときに再婚。公私ともども充実した毎日を送っています。

撮影=プレジデントオンライン編集部
(左)スープなどは薄く固めて、縦に収納 (右)冷蔵庫をいかに省スペース収納でスッキリさせるかなど、さまざまな片付け術を発信中の西崎さん

片づけが最高の「セルフコーチング」である理由

令和の現代になっても、女性の家事負担は大きく、多くの女性が仕事と家庭の両立で悩んでいます。私の負けず嫌い根性が「そんなのおかしい」って騒いでいます。

写真=本人提供

しかし、部屋が散らかるのを、家事をしない夫や子どものせいにしたところで、部屋は片づいてくれません。社会構造のせいにすれば気持ちがおさまるかもしれない。本当に残念ですが、そうであったとしても、家族は察してくれないし、何も変化は起きません。

じゃあ私はどうしたいの? と考えて、「いろいろあるよね。でも片づけたいのは私だし、まずは自分からやってみよう」と、自分から率先して片づけるのが私たちのやり方です。片づけを「やればできる」から「やっている」状態にするのです。

私は「片づけは最高のセルフコーチング」とお話しします。

片づけを通して自らが本当にありたい姿に答えを出すことができるし、片づけの習慣が身につけば、勉強にも仕事にも生かせる。片づけは人生をポジティブにするスキルなのです。

写真=本人提供
今も女性たちの悩みに現場で耳を傾け、発信や活動に生かし続けている