デジタル機器の使い方の見直しが必要

そうした邪魔の排除に向けたポイントとして、私が真っ先に考えるのが、パソコン、スマートフォン、タブレットをはじめとする「デジタル機器」の使い方の見直しです。仕事に必要な取引先の会社情報や経済ニュースを検索したり、電子メールやチャットで社内外とのコミュニケーションを取ったりするために、デジタル機器はいまでは欠くことのできない「仕事道具」になっています。

しかし、検索サイトを利用していると、それに関連した興味をそそる情報が飛び込んできて、つい見入ってしまうことが少なくありません。また、大切なメールが来ていないか、頻繁にチェックすることで、本来やらなければならない仕事に集中する環境を自ら壊してしまっているのが、いまや現実なのです。

仕事で必要となる情報の検索は、実際に仕事に手を付ける前の「事前準備」の段階で済ませておきたいものです。事前準備の大切さを説いた言葉に「段取り八分、仕事二分」がありますが、情報の検索は段取りに含まれます。メールやチャットのチェックについてはよく言われるように、「始業時間のすぐ後、お昼休みの後、帰宅前の1日に合計3回だけ」といった自分なりのルールを決め、集中的に処理してしまうのがいいでしょう。本当に急ぎで大切な要件であれば、相手は直接話しかけてくるか、電話をしてくるはずです。

一日に数回チェックすることを決めるだけでも、仕事中に「メールやメッセージが来るかもしれない」と仕事以外に注意を払う必要がなくなりますし、メールを送った相手も、数時間の内に返事が来れば問題には感じないはずです。このような安心感も、他の仕事を進める上で大切でしょう。

上長や部下への対応で仕事を中断されるのを回避する方法としては、「早朝時間」の活用があります。始業前のまだ誰も出社していないオフィスであれば、話しかけられる心配はありません。取引先をはじめ、外部からの電話もかかってこないでしょう。始業までの時間を、自分自身にとってプライオリティの高い仕事に割り振ることで、職場での時間を有効に活用できるようになっていきます。

(構成=伊藤博之 図版作成=大橋昭一)
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