今年、高敞南小からは6年生の男子が2人選ばれてカナダ留学を体験してきた。そのうちの1人である鄭經憲(チョンギョンホン)君は自分から「行かせてほしい」と親に頼んだそうだ。実際に参加したところ、8週間の授業は、変化に富んだ楽しいもので、もちろん、すべて英語で行われたという。講師が言うことはほぼ理解でき、特別困ったことも授業についていけないこともなく、どっぷり英語に漬かれて満足だったらしい。
「来年も別の地域に行かせてほしい」と親に頼んでいるという。将来は何になりたいのかという質問に、「コンピュータが好き。それなら英語を使うことも多いし」と笑って答えた。
強烈な競争社会の縮図
小学校からの英語教育が始まって16年。成果は確実に上がっている。
かつて「英語が苦手な国民」といわれていた韓国人。だが、2011年のTOEIC韓国人受験者の平均スコアは633点。日本人の平均スコアは573.7点(12年11月)だ。受験者数は日本とほぼ同数。人口は約半分だから、受験率2倍ということになる。
韓国では、大学の教員や大手企業のトップエリートになるには、米英の一流大学で博士号を取得するのが当たり前。韓国語と英語に加えて、日本語や中国語もすらすらと話せるトリリンガルも少なくない。国を背負い、国際社会で活躍するエリートづくりは、小学生のうちから始まっているのだ。