高額療養費制度はあるけれど…
日本は、公的保障が手厚いですし、高額療養費制度を利用すれば、それほど高額な医療費はかからないので、貯蓄があれば、民間の医療保険に加入しなくても良いケースが多いのも事実です。がんの治療も健康保険が適用される治療を受ける限りは、それほど、高額になることはありません。
ただし、一般的にがんになると、手術や入院の日数は短くても、その後の通院や治療には数カ月から数年かかることもあります。その間、がんになる前と同じように働けないとなると、貯蓄がたくさんあっても心許ないでしょう。また、佐藤さんのケースのように自由診療や先進医療の中にもがんに効果があるとされる治療がありますが、費用は全額自己負担になってしまうので、相応にお金がかかります。がんになった際に、治療の選択肢の幅を広げたいならば、がん保険に加入することも検討しておきたいところです。
加入済みで放置している人は契約内容を要確認
がん保険や医療保険を考える際、抑えておきたい点があります。最初に、医療技術の進歩などにより、現在は入院日数が短縮傾向にあること。現在、入院した人の約6割が10日以内に退院しているというデータもあります(※)。そして、ライフスタイルの変化などもあり、通院し、働きながら病気と向き合うケースが多くなってきている点です。
※参考:東京海上日動あんしん生命「医療保険の通院保障は必要?保障の概要から必要な理由を詳しく解説」
こういった変化に伴い、保険も大きく変わってきています。そのため、がん保険や医療保険に既に加入済みの方で、長年放置している方は、ぜひ契約内容の確認をお願いします。私のお客さまで、親が数十年前に入れてくれた医療保険を契約し続けている方がいたのですが、あまりに昔の保険だったため、入院給付金がもらえるのは「入院5日目から」というケースがありました。今の医療事情やライフスタイルにあった保険でないと、加入していてもいざという時、役に立たない可能性も。ぜひこれを機に見直してみましょう。