学校教育に必須なのに

いまや、学校教育にタブレット端末は必須だ。文部科学省によると、義務教育の小・中学校における1人1台端末の整備状況は、全自治体等のうち99.9%が完了(2022年度末時点)。同省が今年5月に行った調査によると、公立高校でもタブレット端末の整備率は100%を超えた(予備機を含む)。

このうち、23府県は公費負担、24都道府県は保護者負担。市区町村立も含めて、公費負担のタブレット端末は計約103万台で、前年と比べて約6万台減だったのに対して、保護者負担は計約100万台。約26万台増だった。

だが、タブレット端末は高価だ。また、端末管理の煩雑さを防ぎ、教員の負担軽減を図るために指定機種を推奨している自治体もある。

中古品の活用や「お古」融通もできない

たとえば、香川の県立高校では原則、指定の機種(グーグル・クロームブック)を新品で購入する必要があり、すでに持っている端末を使うことができない。

「制服なら、誰かから譲り受けるとか、リサイクルショップで購入して節約できます。タブレット端末は決められた新品を購入しなければならず、きょうだい間で『お古』を融通することもできない」(前出の福本さん)

文科省が進める「GIGAスクール構想」の一環として、香川県が1人1台のタブレット端末を高校に整備し始めたのは、2019年度。公費購入ではなく、学校が指定した機種を保護者に購入してもらい、授業で使う「BYAD(Bring Your Assigned Device)」方式だった。同年度、県内の3校がBYAD方式でタブレット端末を導入した。

だが、翌20年度、コロナ禍で学校の臨時休校が続き、オンライン授業を行う必要に迫られた。国からの新型コロナ対策の交付金を使い、残り26校にタブレット端末をリース契約で整備した。

コロナ禍は明けリース契約も終了、元の方針に戻す

来年度から公費負担から保護者負担に切り替える理由について、香川県教委高校教育課の佐伯卓哉課長補佐は、こう説明する。

「タブレット端末のリース契約が終了したタイミングをもって、元の方針に戻すということです」

文科省はタブレット端末について、①マイクロソフト「ウィンドウズ端末」、②グーグル「クロームブック」、③アップル「アイパッド」――このいずれかが望ましいとしている。

「グーグルのクロームブックは他機種よりも若干割安なうえに動作が軽快」(佐伯課長補佐)なことから香川県は推奨機種とした。必要なソフトウェアを業者が一括してインストールし、保守に対応するためにも「指定した機種を購入してもらうことが必要」という。

ほかの自治体も続々

保護者負担への切り替えは他県でも進んでいる。

群馬の県立高校では今年度の入学生から、公費負担から保護者負担に切り替わった。個人が所有する端末を学校に持ち込んで使用する「BYOD(Bring Your Own Device)」方式を採用。BYADと比べて端末を購入する際の制約は緩く、機種を問わない学校もある。手持ちの端末がない場合、貸し出しも行われている。

「導入時には国費を使いましたが、数年後にBYODに移行することを当時から想定していました」と、群馬県教委の毒嶌(ぶすじま)章係長は説明する。