個々の患者のリスクを踏まえた上での最新の虫歯予防

検査では、唾液の緩衝能や分泌速度(量)を調べ、患者さん個々の受け皿の大きさを確認します。また、唾液に含まれる虫歯菌の培養もします。虫歯菌を培養することで、患者さん個々の虫歯菌の数がわかります。

この虫歯菌の数が図表1の1本の蛇口(虫歯菌)の量に当たります。虫歯は、こうした唾液の力・量や虫歯菌の数に加え食事などの生活習慣などさまざまな要素が絡み合って発生します。

そこで当院では、唾液検査、虫歯菌の培養による数の検査に加え歯垢(プラーク)の量、歯磨きの頻度・回数やフッ素の使用状況、飲食の回数などのデータを採取します。

それらのデータ全てをスウェーデンで開発された「カリオグラム」というソフトに入れ分析することによって、その人が1年後に虫歯になるリスクが何%あるかが統計学的に判断できます。カリオグラムは(図表2)のように円グラフで5つの領域が色分けされて示されます。

出所=『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)
多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)

緑色は虫歯を避けることができる可能性を表しており、その面積が広いほど虫歯リスクが小さいということです。その他の4つは、虫歯のリスクとなる因子を表しています。

青色は食事(食事内容と飲食回数)、赤色は細菌の数、水色は感受性(唾液の力・量など)、黄色は環境(虫歯の本数や関連する全身疾患など)を示しており、どの因子がその人の虫歯リスクになっているかがわかります。

このカリオグラムの結果を踏まえて、1年後の虫歯リスクを減らすために適切な生活習慣や口腔ケアなどを提案します。これが患者さん個々のリスクを踏まえた上での最新の虫歯予防医療になります。

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