子どもに向き合えない親が増えている

お父さんが本気を出して向き合わないと、子どもの不登校・ひきこもりを治すことはできません。

「仕事で忙しい」「子育ては妻に任せている」という人がいますが、なんのために働いているのでしょうか。子どもを育てるためではないのですか。

子どもが不登校やひきこもりになったら、それは一大事です。そこに全力で向き合わなければなりません。

子どもが部屋でバリケードを作って出てこないというケースで、「お父さんがバリケードを破壊してください」とお願いすると、「え!それ、ぼくがやるんですか」と答えたお父さんもいました。

「もうちょっと見守ったほうがいいのではないですか」と消極的なお父さんもいます。子どもに対峙たいじできないお父さんが増えていると感じます。

お父さんにいわゆるエリートが多いのも特徴です。東京大学などの国公立大や有名私大など一流大学を出た人、医師や大学教授など社会的地位の高い職に就いている人の子どもが、不登校・ひきこもりになってしまうことが多いのです。

お父さんに話を聞くと、たいていは地方の公立高校出身で、自分の力で大学受験を突破してエリートになっています。

私から見ると、自分の子どもも同じように育てればいいのに、なぜ早期教育や中学受験をさせるのかと不思議に思います。

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なりやすいタイミング①中学1年生

不登校やひきこもりになりやすい最初のタイミングは、中1のとき、いわゆる「中1ギャップ」です。

小学生のときと違って、部活動や委員会など縦の関係が重視されるようになります。これまで「〇〇君、△△ちゃん」と呼んでいた近所のお兄さんやお姉さんを、急に「先輩」と呼んで、敬語で話さなければなりません。

勉強も、中間テストや期末テストという形式になって、学年での成績順位が出て、他人と比べられるようになります。こうした変化に対応できないのです。

さらに、中学受験をしてきた子たちは、受験科目に英語がない学校がほとんどですから、小学校では英語を本格的に勉強していません。

中学に入ると、本格的にやってきたクラスメートもいるなかで、英語でつまずいてしまうのです。不登校になった原因に「英語が嫌で学校に行かなくなった」と話した子どもを何人も見てきました。

英語に限った話ではありませんが、特に私立の進学校ではものすごいスピードで授業が進みます。

中1から高2までの5年間で中高6年分のカリキュラムを終わらせて、高3の1年間は大学受験対策にてるためです。そのスピードについていけず、挫折してしまうのです。

中学受験で燃え尽き症候群のようになってしまい、もう勉強する気がなくなってしまう場合もあります。

地元の小学校では上位の成績でも、進学した中学校では成績が下のほうになってショックを受けてしまう場合もあります。

これらの原因が重なって、中1は不登校になりやすいのです。