税関職員の張氏は、チャイナ・デイリー米国版に、「その製品(古い肉製品)はコンパートメント全体を完全に埋め尽くしていた。臭くて、ドアを開けたときに吐きそうになった」と語る。

問題の肉は、摘発されなければレストランや小売店、スーパーマーケットへ出荷される予定であった。長沙税関の反密輸局副局長である楊波氏は、米CNNに、「密輸された肉製品は検査されておらず、鳥インフルエンザや口蹄疫などのウイルスを含む可能性があるため、非常に危険」な状態であったと述べている。

本当に「単発の出来事」なのか…

不正な肉を取引する密輸業者は、コストを削減するために冷蔵車ではなく普通の車両を使用することが多く、その結果、肉は何度も解凍されることがある。腐敗が進みやすくなり、消費者に重大な健康リスクを引き起こすおそれがある。専門家はCNNに対し、冷凍肉に一度解凍された痕跡が残らない限りは、消費者が新鮮な肉と古い肉を区別することは難しいと語る。

期限切れの肉は発覚しにくく、身近なフードチェーンも食品汚染の影響を受けたことがある。2014年には、上海の福喜食品有限公司が賞味期限切れの肉を使用していたことが明らかになった。同社はマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなど、大手ファストフードチェーンに製品を供給していた。

この問題は上海のドラゴンTVが放送した潜入調査報道によって発覚したもので、番組では同社の従業員が期限切れの肉を新鮮な肉に混ぜ込んでいる様子や、マクドナルドの検査官に嘘をついている場面が映し出された。

米CBSニュースによると、調査報道が放送された直後、上海の当局は問題の工場を閉鎖した。福喜食品は米OSIグループの子会社だが、OSIはこの報道に関し、事件は常習的ではなく「単発の出来事」であるとの認識を示しつつ、責任を認めている。

歴史ある中華料理の汚点となっている

食品は体内に直接取り込まれることから、徹底した安全性が求められる。食材のプロが集う現場で、安全性軽視が暗黙の慣行となっていることは非常に残念だ。

コスト削減のため下水から油をくみ上げたり、傷んだ食材を隠すために下痢止めを混ぜて客に提供したりと、常識で考えられない行為が日常的に行われている。毎年のように不正が発覚しては報じられている現状を鑑みるに、明るみに出ていない不衛生な慣行は、まだまだ広く行われていると考えざるを得ない。

中華料理は紀元前2000年頃に端を発し、現在までに4000年以上にわたり改良を重ねてきたと言われる。古代から秦・漢時代、唐・宋時代を通じて発展を遂げ、20世紀以降に世界に広まり独自の進化を各地で遂げた。その総本山とも言うべき中国で、食の安全が脅かされている。世界に誇る食文化の中枢であるだけに、出された料理を安心して口に運べる環境作りが求められよう。

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