このニュースは中国のポータルサイト「網易(Netease)」で激しい議論を巻き起こし、4万件以上のコメントを集めた。コメントの多くは、猫を食べるということよりも、ペットを盗むという行為に憤りを示すものであった。動物愛護団体は同紙に、中国では毎年1000万頭以上の犬と400万頭ほどの猫が食用として殺されていると話している。
ネズミ、キツネ、ミンクが“羊肉”に
猫ではなく、ネズミを食肉として出荷していた事件も過去に起きている。2009年から2013年まで、ネズミ肉を羊肉として販売していた大規模な食品偽装事件が起きていた。
中国公安部の発表によると、ネズミ、キツネ、ミンクの肉が羊肉として偽装され、上海や江蘇省の無錫市で販売されていた。事件の発覚後、10トン以上の偽装肉が押収されている。押収された肉は、ゼラチン、カルミン酸、硝酸塩が混ぜられ、味や食感を羊肉に似せて加工されていたという。英BBCによると、900人以上が逮捕される大規模なスキャンダルとなった。
問題の偽装肉は、主に山東省から出荷されていた。食品安全の専門家である復旦大学の李曙光氏は、グローバル・タイムズ紙に、「キツネやミンクの肉は、毛皮のために飼育されている農場から来ている可能性が高い」との見方を示している。山東省の農場では、毛皮をはぐ目的でキツネやミンクが飼育されており、その肉が使用されていた可能性が高いという。
山東省医科大学の研究では、一帯の農場で飼育されているミンクの肉から、人間にとって有害な細菌が大量に検出されている。さらに、問題の農場では、多くのミンクが感染症で死亡している。
中国農業大学の食品安全専門家である侯才元氏は、グローバル・タイムズ紙に、「ネズミ、キツネ、ミンクの肉を販売することは違法であり、これらの肉には食品検査基準がない」と危険性を指摘している。
別の食品安全の専門家は、大規模な屠殺場やスーパーマーケットではトレーサビリティ(出所の追跡手段)が確保されている一方、「問題は、規制されていない食品市場から肉を購入する小規模な露店やレストランにある」と述べる。
1970年代の肉を密輸していた事件
肉自体は牛や豚であったものの、およそ半世紀前の大幅に古い肉が流通していることもある。2015年6月、中国の税関当局が14の省と地域で行った大規模な取り締まりの結果、1970年代の肉が密かに流通していることが発覚した。
湖南省の長沙税関は同年6月1日、20人のメンバーからなる2つの密輸団を摘発し、800トンの冷凍肉を押収したと発表した。摘発された密輸肉の多くは賞味期限が切れており、40年以上前のものも含まれていた。一部は70年代に梱包された肉であった。