例えば、誰かとランチを一緒にするのでも、相手が自分と似たような人であれば安心ですし、相手にジェラシーを感じることもないでしょう。しかし多様なバックグラウンドをもつ人たちと食事をすると、相手の中に羨ましく思う要素や、真似したいと思うものを発見することもあるのではないでしょうか。そのためか、10年、20年と長期にわたって行われた心理学の調査では、様々な人と食事をする習慣がある人のほうが、その後出世しやすく、年収も高い傾向にあるという結果が出ています。
以前、ある大学教授に「僕は君に嫉妬してるんだよ」とサラリと言われたことがあったのですが、それを聞いてすごく器の大きな人だと思いましたね。そんなふうに自分の嫉妬心を認められるのなら、人は年齢にかかわらず、嫉妬をバネにしてどんどん伸びていけるはず。だから他人に嫉妬を感じたら、あえて「嫉妬宣言」をしてみるのもいいかもしれません。口に出して言うのがはばかられるなら、心の中で宣言するだけでもいいでしょう。
もちろん嫉妬には怖い面もあります。嫉妬心を放っておくと、それが負の波及効果を生んで、相手の「悪いところ探し」に発展することがあるのです。最初は「たいして残業もしていないのに営業成績がよくていいな」という単純な羨望だったのが、自分が嫉妬しているという事実を認めたくなくて、「アピールばかりうまい」「学閥を利用してごますりをしている」などと、いつの間にか「相手に悪いところがあるから自分が嫌な気持ちになる」と論理をすり替えてしまいがちです。
いつも他者の存在をポジティブにとらえる習慣のある人は、感情を司る扁桃体という神経細胞の老化が遅くなることが認められています。扁桃体は抗重力筋という、文字通り重力にあらがう筋肉の発達と相関があるので、老化の遅さは見た目にも表れてきます。
逆に言うと、嫉妬のあまり他人のアラ探しばかりしてしまうのは、天然のアンチエイジング効果をみすみす放棄する、損な行為でもあるのです。