知らないと大損? 実は怖い「新NISA」の罠
私は、株の長期保有が基本スタンスなので、株をあまり売買しません。しかし、それだけに、株の売買のタイミングは、慎重に見極めています。
私が株の買い時と考えているのは、何らかの特殊要因で、高配当の「優良株」が“暴落”した、言い換えれば、実力に見合わない「割安」になったタイミングです。
典型的なのは、2008年に起こった「リーマンショック」でしょう。世界的な経済危機で、日本の株式相場全体も崩壊状態に陥ったため、業績良好だった企業の株価までもが、そのあおりで軒並み下落しました。したがって、当時は、「総合利回りが20%超」という銘柄もザラにありました。そうした金融恐慌が3〜5年も続いたわけで、資金力のある個人投資家にとっては、高配当株を仕込む絶好のチャンスでもあったわけです。
10年間の業績が右肩上がりの傾向にあれば、その企業には成長力があると言えるため、銘柄を選ぶときは、直近10年の決算が「増収増益」であればベストであるというお話を先ほどしました。ただし、リーマンショックやコロナショックといったような経済の特殊要因による一時的な減収減益には、目をつぶってもいいと考えています。
最近では、21年の菅政権下での「携帯電話料金引き下げ」によって、通信関連企業の株が、大幅に下がったことがありました。銀行など取引先の「株持ち合い解消」で株が市場に放出され、株価を押し下げるケースもあります。企業業績を反映していない、そうした特殊要因で株が値下がりした場合、すぐに反発して値上がりする可能性が大きいのです。そうした高配当株の買い時を、逃さないようにしましょう。
空前の株高が続いたこともあって、株投資に新NISAを活用する人も増えているようです。しかし、私は、あまりお勧めしません。
確かに、新NISAには、「利益に対する非課税」という大きな魅力があります。しかしその一方で、例えば、課税口座のように、株の売却益から売却損を差し引く「損益通算」ができないという欠点があります。そのため、株を損切りしたときは節税効果を得ることができないのです。
そのため、新NISAを活用するなら、リーマンショックのような特殊要因で、値上がりが確実に見込める、割安な株を購入するときに限るといいでしょう。
かんちさんが厳選! おすすめ高配当銘柄30選
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年9月13日号)の一部を再編集したものです。