国内株の最低単元保有が最も理にかなった投資方法

意外に知られていませんが、実は、株主優待制度は、個人株主増加を目的にした日本特有の制度。米国株などには見られません。インカムゲインを狙う場合、日本の個人投資家なら、この優待株を活用しない手はないでしょう。

私は現在、約600銘柄の株を持っていますが、そのすべてが日本株であるのは、株主優待制度があるのが大きな理由。保有株のうち、約300銘柄が優待株。時価ベースだと、約5割が通常の高配当株、約3割が優待株です。

優待株の銘柄数が多い理由は、最低単元の株しか保有していないからです。株主優待制度は、「株主1名」ごとに適応されるので、例えば、年1万円分の自社の無料利用券をくれる優待の場合、100株の株主にも、1000株の株主にも、同じ1万円分の無料利用券しか支給されません。だとすると、優待株の場合、最低単元株を保有することが、「総合利回りを最も高くする方法」になります。さまざまな業種の優待株を多数保有した結果、分散投資にもつながりました。実は、優待株の銘柄はもっと多いのですが、株主優待制度をフル活用できなくなるので、私は、300銘柄ほどの保有にとどめています。

小売業やサービス業などの株主の場合、店舗を使えば、投資先企業の実態を知ることもできるので、株主優待制度を積極的に生かすことをおすすめします。とりわけ、若い頃は株主優待制度があったので、生活費の節約ができて、とても助かりました。そこで、手持ち資金が少ない、若い個人投資家は、当初は優待株に分散投資して、株主優待制度で生活費をカバーしつつ、資金が貯まってきたら、今度は通常の高配当株に投資するといいでしょう。

投資信託では得られない高配当株の妙味とは

最近では、優遇税制で投資を促す政府の「新NISA」の制度導入によって、新規参入の個人投資家が増え、「インデックス型」の積立投資信託に人気が集まっているようです。高配当株の個別投資と比べてみましょう。

インデックスファンドは、「日経平均株価」や米国の「S&P500」といった株価指数と連動するようにして投資するもの。しかも、積立型であれば、ドルコスト平均法でリスクヘッジができるので、当たり外れがなく、中長期に保有すれば、「平均点」の運用益は得られます。実は、株の個別投資で平均点を稼ぐのは容易ではないので、ビギナーが資金を手堅く増やすのに向いていると言えるでしょう。

しかし、逆に言えば、投資額を増やしても、長期に保有しても、インデックスファンドでは、平均点以上の運用成績は望めないわけです。私は、本腰を入れて株を勉強すれば、誰でも平均点以上の成績は取れると考えています。

それに、インデックスファンドは、個別株のような配当、株主優待といった、個人投資家ならではの「うま味」が享受できません。利益を再投資するので、複利効果は得られますが、解約するときには、ファンド全体を取り崩すことになります。個別株のように、元本をそのままに、配当をほかの株投資に回すことができません。そのため、高配当株のほうが、インデックスファンドよりも、お得と考えるのです。そこで、投資に慣れてきたら、インデックスファンドで増やした資金を、高配当株の個別投資に充当したほうがいいでしょう。