小泉進次郎が得意とする「問いかけ話法」

呼びかけは「みなさんは××したことはありますか? ××したことのある方は手を挙げてください」といったように、その場で聞き手にアクションを促す方法です。

呼びかけを行うと、聞き手は手を挙げたり、拍手をしたり、なにかしら行動が求められるため、話に飽きずについてきてくれる効果があります。

この方法を活用できているのが小泉進次郎さんです。

例えば、ある演説会場で制服を着ている人たちが目立っていると「この中に高校3年生はいるの?(挙手するジェスチャーをしながら)今回、初めて有権者ですよ」と、高校生が手を挙げたり、うなずいたりすることができる語りかけをしています。

彼は、その場の人たちとコミュニケーションを取ることで「来てよかった」「話が聞けて前向きな気持ちになれた」と感じてもらいたいという思いを持っているのでしょう。

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問いかけや呼びかけは、とくに、自分の話に興味を持ってもらえていないのではないか、と不安に思うことが多い人にもおすすめの方法です。

おもしろみも個性もない日本のプレゼン

このような工夫ひとつで、聞き手を惹きつけるプレゼンが実現できます。

しかし、日本社会では「話し始め」への配慮がまったく行き届いておらず、私はいつも呆れてきました。

なかでも印象に残っているのが、かつてDeNAで人事職に就いていたときのこと。

複数の企業が集まる合同説明会の場で、たくさんの学生を前にプレゼンテーションをする機会がありました。

それぞれの企業が順番に、学生100名近くに向けてプレゼンをします。持ち時間は1社7分。そのたびに、繰り広げられるのはこのような冒頭でした。

>え~。ただいまご紹介にあずかりました、株式会社××の山崎と申します。本日は、株式会社××の会社説明をさせていただきます。

すでに司会が紹介した所属や名前を、形式的に繰り返すだけ。そして、それが10社近くも続きます。どの会社も同じ、なんとなく形式にあてはめてとりあえず話せばいい、という風潮がはびこっていて、おもしろみも個性もないのです。

この冒頭を聞き続けると「きっとこの会社もさっきの会社と似たような説明なんだろうな」と予測がつき、聞き手の心は一瞬で離れます。