大統領選挙と利下げ

米国では11月5日に大統領選挙が行われます。共和党のドナルド・トランプ候補はFRBのパウエル議長にかなり批判的です。そうした点を考えると、パウエル議長は心情的にも、民主党のカマラ・ハリス候補や現政権を「応援」したくなるものです。

「FOMCは9月の次は11月6、7日に実施予定で、これは大統領選直後にあたります。9月のFOMCでの利下げ、それもできるだけ大幅な利下げを予想することもできます。

というのは、私の米国の友人の中には、「共和党や民主党の熱烈な支持者でなければ、大統領選当日の懐具合で現職を選ぶかライバルを選ぶかを決める」という人もいるくらいだからです。消費が美徳の米国では、今の経済情勢が大統領を選ぶとても大きなポイントなるのです。

現状の米国の経済状況を概観しておくと、減速感は否めないものの、ある程度の順調さは維持しており、物価を考慮した上での実質GDPも8四半期連続で拡大しています。四半期のGDPは前四半期に対する年率での伸びを表します。

ということは、米国では8四半期連続でその前の四半期を上回って経済が拡大しているということです。また直近の4~6月の四半期では、成長率も3%とまずまずの数字です。また、4~6月の企業業績も前四半期よりも拡大し、税込みで年換算3兆4247億ドルとなっています。

全体的には減速気味ではあるものの、それほど悪い状況ではなく、景気はソフトランディングに向かっていると私は考えています。この状況で、FRBが利下げ、それも比較的大きな利下げを行えば、景気刺激効果は小さくないでしょう。それを先取りして、NYダウは、このところ4万ドル程度の水準で推移しています。