節約面を考えてもドライより冷房を選ぶ

ここ数年、よく聞くようになったエアコンをつけっぱなしにする節電法も、その応用のひとつです。エアコンが大量の電気を使うのは、コンプレッサーが作動するとき、つまり温度を一気に下げようとするときです。これに比べると、いったん下がった温度を維持するための運転というのは、あまり電気を使いません。つまり頻繁につけたり消したりすると、無駄に電気を使ってしまうこともあるのです。

ただし、つけたままのほうがいいとは言っても、外出中に何時間もずっとつけっぱなしというのは問題。つけたままにしていい目安は、昼間の暑い時間に、だいたい30分くらいの外出をするときです。この程度の短時間ならエアコンを消さないまま出かけたほうが、電気の節約になるでしょう。

気温が下がる夜はこまめにスイッチを切ったほうがいいという説もありますが、今年のようにいつまでも気温が下がらない夏の就寝中は、タイマーで切れては入れてを繰り返すより、少し高めの温度設定で入れ続けたほうがおトクなうえ、熱中症の危険も少なくなります。

写真=iStock.com/Lazy_Bear

風量を強くしても電気代はあまり変わらないので、風をうまく用いて体感温度を下げるようにしたい。

また長い間冷房のきいた部屋にいると、体が冷えてしまうこともあります。そんなとき、すぐエアコンのスイッチを切ったりしていませんか?

実はこれがコンプレッサーを作動させ、電気の無駄遣いになっていることも多いのです。寒いと感じたらスイッチは切らずに、温度設定を高くして運転を続けたほうが節約につながります。

もうひとつ、夏になるとよく聞くのが、「ドライと冷房、どちらがおトク?」という論争です。結論からいうとコストパフォーマンスがいいのは、冷房のほう。

エアコンのドライには、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類がありますが、まず弱冷房除湿とは、簡単に言うとただの弱冷房のこと。電気代は冷房よりも安いものの、室温は下がらず、温度を下げることでおこなう除湿効果も弱い。もうひとつの再熱除湿とは、温度を下げずに除湿するモードです。これは温度を下げないためにわざわざ加熱する仕組み。梅雨の気温が低い時期の除湿にはおすすめですが、真夏には電気代を増やすだけで効果がありません。しかも再熱除湿の電気代は、冷房より高くなっています。

ほかにエアコンを上手に機能させるためには、日射や外気熱の対策をおこなってその影響をコントロールすることも必要になります。夏の熱侵入は、約7割が窓からと言われているので、窓に日よけをかけるのが有効です。ただし夏の日よけのポイントは、窓の外側にかけるということ。窓の内側に遮熱カーテンなどをかけても、窓ガラスから熱が伝わり、家全体の温度は上がってしまいます。

こうした日よけは、室外機にも有効です。見逃しがちですが、1階に置かれた室外機の周りに草が茂って風通しが悪くなったり、直射日光が当たったりして、無駄な電気代を使っているケースは意外に多いもの。室外機に日よけをつけて直射日光を遮るだけで、驚くほど電気代が安くなることもあるので、ぜひ試してみてください。

※ダイキンの実験結果(昼の9時間での比較)をもとに、ひと夏の差額を算出