内発的なアファメーションのほうが効果的

もう1つ注目してほしいのは、私が自分自身に二人称で語りかけていた点だ。このアファメーションは、外発的報酬(※1)よりも内発的報酬に基づいている点だ。

あなたにも、これを参考にしてほしい。アファメーションなら何でもいいというわけではなく、内発的なアファメーションのほうが効果的だからである。

こうした話を眉唾だと思ってしまう人は、実際にハイパフォーマーともっと時間を過ごしてみるべきだ。彼らは本当に、こういうことを言ったりやったりしているのである。自分に――声に出して――語りかけ、大事なことをリマインドしている。

競技場の選手入場口に立ってみれば、自らに話しかけるオリンピック選手の姿が見られる。彼らは、たとえそうは呼んでいないにしても、自分の行動の意義を自らに宣言しているのだ。

世界的に有名な講演者にバックステージで耳を傾ければ、彼らはスピーチを練習しているだけではなく、自分がそこにいる意義を見つめ直していることがわかる。

精神医療現場でのアファメーションの効果を確認した調査報告もある。不安症の患者が、症状を克服する勇気を得た最も有効な手段として挙げたのが、自分の目指す目標の価値を自身に言い聞かせるというものだった。

自分が何を望んでいるのか、なぜそれを望んでいるのか

私は、動画でもっとうまく話せるようになるために、動画制作の意義をたくさんの身近な人に宣言した。オンライン講座の撮影を始めることと、なぜ私にとってそれが重要なのかを、家族や友人に話したうえで、出来上がった講座へのアクセスを翌週送ると宣言し、その週のうちにフィードバックを送ってほしいと頼んだ。

当然、笑ったり、半信半疑で聞き流す人が多かった。だが、ポイントは彼らに認めてもらうことではなく、私自身が人前で大義を標榜し、有言実行せねばならない状況をつくり出すことだった。

ブレンドン・バーチャード『世界3万人のハイパフォーマー分析でわかった 成功し続ける人の6つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

その約束をしたとたん、言行を一致させようとする人間的欲求によって、パフォーマンスを一層向上させ、約束の期日を守ろうという意欲がわいた。公言によって、私が何かをする外発的期待をつくり出して、実行したのである。

私がこれをしていなければ、これまで動画シリーズや講座を修了した100万人以上の受講生がベネフィットを享受することはなかっただろう。大義を標榜することは、私の大量アウトプットの秘訣となっている。

言語化すると、それは自分の中でより現実的で重要なものとなる。真実に沿った生き方をする必然性が増す。だから、今度パフォーマンスの必然性を高めたいと思ったら、自分が何を望んでいるのか、なぜそれを望んでいるのかを自他に表明しよう。

※1 外発的報酬……制作の完了、講座の販売による利益、受賞、ポジティブなフィードバックなど

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