女性初の裁判官を目指すキャリア形成がスタートした

青山誠『三淵嘉子 日本法曹界に女性活躍の道を拓いた「トラママ」』(角川文庫)

しかし、嘉子が試験会場の告示を見て憤慨したのは、弁護士と判事・検事の待遇格差が理由ではない。その採用条件に「日本帝国の男子に限る」という一文を見て、納得がいかなかったのだ。

戦後になってから嘉子がとある講演会に出席した時に、

「裁判官をなぜ日本帝国男子に限るのか。同じ試験を受けて、どうして女子は駄目なのかという悔しさが猛然とこみ上げてきたことが、忘れられません」

このように語っている。高等試験の会場で目にした衝撃と怒りは、長い年月が過ぎてもけして忘れることなく、心のなかにトゲのように突き刺さっていたようだ。

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