民間主導のスタジアム・アリーナ建設も進んでいる

地元自治体主体でスタジアム・アリーナ建設が進む一方で、本稿で注目したいのは、民間企業主導によるスタジアムやアリーナの建設である。

プロスポーツチームを保有する民間企業などが、自前の専用スタジアム・アリーナを持つには、巨額の建設費や運営費が必要となるものの、スタジアム使用料の支払い、広告やスタジアム内販売での制約、自治体など所有者との調整が不要となるといったメリットがある。

民間企業主導による魅力的な最先端のスタジアム・アリーナは、より多くのファンを呼び込み、地域活性化にもより貢献する可能性が高いといえる。

なぜなら、民間主導のスタジアムやアリーナは、投資・事業の観点から、単純にビジネスとして採算がとれるのか、成長性はあるのか、自社ブランドに貢献するのか、といった合理的な経営判断が大前提となっているはずだからだ。

国や自治体と違い、民間企業によるスタジアム・アリーナ経営や運営では、採算性や継続性が重視され、売上高、最終利益は無論、稼働率、販売価格、平均単価などをより重視した運営が行われることになる。

三井不動産とMIXIによる「ららアリーナ東京ベイ」

こうしなか注目されているのが、プロ野球の北海道日本ハムファイターズの新本拠地「エスコンフィールド」(エスコン)だ。札幌に隣接する北広島市にあるボールパークエリア「北海道ボールパークFビレッジ」の中核をなす新球場「エスコンフィールド HOKKAIDO」の収容人数は3万5000人で、開閉式屋根付き野球専用天然芝フィールドだ。レフト側ポール際には5階建ての複合型施設「TOWER11」があり、温泉やサウナに浸かりながらの野球観戦が可能である。

「北海道ボールパークFビレッジ」(ファイターズ スポーツ&エンターテイメントプレスリリースより)

エスコンは、日本ハムの子会社、ファイターズ スポーツ&エンターテイメントが所有・運営する。「北海道ボールパークFビレッジ」の建設費は約600億円と巨額ながら、入場料・物販販売、周辺開発などにより建設費や運営費を賄うことになる。

2024年5月に開業した1万人を収容する「LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ東京ベイ)」は、プロバスケットボール男子Bリーグ1部の「千葉ジェッツふなばし」を傘下に持つ大手IT企業のMIXI(ミクシィ)と隣接地で大型商業施設「ららぽーとTOKYO-BAY」を展開している三井不動産が、共同で建設し、合弁で運営する。

「LaLa arena TOKYO-BAY」外観(MIXIプレスリリースより)

「千葉ジェッツふなばし」がホームアリーナとして利用するほか、コンサート、スポーツイベント、企業の展示会など様々なイベントに対応可能な大型多目的アリーナとなる。コート上部に大型の4面ビジョンを設置するほか、アリーナ前にイベント広場も整備する。JR京葉線「南船橋」駅に近く、「ららぽーとTOKYO-BAY」との相乗効果で、新たなファン層の獲得や、イベント前後の買い物や食事などの需要も見込んでいる。