私たちはどのように死ぬべきか

【名越】人間には、意外と生き抜く力がみなぎっているというお話が先ほどありました。

【養老】人間、そう簡単には死なないんだから、みんなやりたいことを思い切りやって、後はポックリと逝くのが、僕はいいと思うね。

【名越】こんなことをうかがうのは恐縮ですが、養老先生は、ご遺体を「こうしてほしい」といった、ご希望はお持ちでしょうか。例えば、樹木葬がいいとか、散骨してほしいとか。

【養老】そんなの、ないよ。死んだ後のことなんて、どうなっているかわからないもの。僕は医学部の教員だったから、死んだら「献体」をするのが普通なんだけれど、いまの解剖実習って、ご遺体に困っていないんですよ。だから、自分の体は、残った人たちで好きにしてくれといった感じだね。

【名越】僕は「田舎の墓仕舞いをどうしよう」なんて考えていまして。そういった後始末って悩んでいる人も多い気がするのですが、養老先生は、どんな最期を迎えるのがいいとお考えですか。

【養老】田舎や自然の中で迎えるのがいいのでは。そうした環境で暮らせば、自分の心がほどけて、周りに広がっていく。そんな感覚になれば、「土に返る」ということを、素直に受け入れられるようになるんじゃないかな。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年8月16日号)の一部を再編集したものです。

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