「よくない」は親の思い込みにすぎない

現代は情報が非常に多い時代です。子育て中の親御さんが「こう育ててあげなければ」「こういう子だと、将来、苦労してしまう」などと感じてしまうのも仕方ないことだとは思います。

でも、お子さんがAさんのように引っ込み思案だったとして、「それがよくない」と思っているのは親の価値観や思い込みによるものだと気づくことも大切です。そもそも恥ずかしいという気持ちがあるのは当たり前で、成長過程や周りの環境、自分の体調によっても変わる可能性もあります。

それでも心配なら、一見ネガティブと思える行動の肯定的意図を考えてみることをおすすめします。「この子はその行動をすることで、何を得ているのか?」を考えてみるのです。例えばお子さんがとても恥ずかしがり屋の場合、恥をかきたくないということは自分を守りたいということ。つまり、安心感や穏やかさが大切であり、それがその子にとっての幸せだとも考えられます。

「条件付きの愛」と「無条件の愛」

大切なのは子ども自身が自己否定ではなく、自己受容できること、そして子どもの心に安心感や幸せを育むことです。どんな自分でも見守っていてくれる、OKを出してくれる親がいてこそ、子どもは「失敗しても大丈夫。挑戦してみよう」と思えるようになります。親の望む行動をしたときだけ褒める、かわいがることを心理学では「条件付きの愛」と言います。しかし、子どもが安心して成長していくためには、存在そのものを認めて愛する「無条件の愛」が必要なのです。

Aさんのカウンセリングではさまざまなワークや心理療法を行いました。1つが子どもの時に本当は言ってほしかった言葉を親の立場になって言う「ポジションチェンジ」。「恥ずかしがり屋だけど、優しい子だね」「無理しなくていいんだ。失敗したっていいんだよ」などの言葉を自分にかけて、言い切ったら最後は自分にハグをします。