「石丸構文」より「京大話法」

最後に、個人的な感想を付け加えたい。

石丸氏をめぐっては、彼の特質を生まれつきだとする議論も見られる。これまでならタブーだったはずの言い方すら許されるほど、彼には何を言っても良いかのような空気である。石丸氏が、批判を恐れずに何でも言っている(かのように見える)から、彼に対しても何でも許される、そんな雰囲気があるのではないか。

それも含めて、彼と彼の話し方が、ネット上を席巻しているのだが、個人的には、「懐かしさ」を覚える。石丸氏とほぼ同時期に京都大学に在籍していた筆者から見れば、彼の話し方はいかにも京大生らしい=「京大話法」だからである。相手の話の前提や定義を問うたり、議論の立て方そのものを議論したりする。「そもそも論」と言えば、聞こえはまだマシかもしれないものの、実態は「堂々めぐり」である。

京都大学 時計台(写真=Soraie8288/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

少なくとも、私が学生だった20年ほど前の京都大学では、それを議論と言って良いのかどうかわからない、言い合いというか、ことばのスレ違いが頻発していた。

石丸氏自身も、おそらく「京大話法」の異質さに早い段階で気がついたのだろう。彼はいつもどこでも誰とでも話がかみ合わないわけではなく、たとえば、「ABEMA Prime」の番組内では、大変スムーズかつわかりやすく、会話を進めていた。Xユーザーにとっては、そうした姿もまた、「石丸構文」で盛り上がる材料になっているのかもしれない。

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