Xユーザーが抱える「アンビバレントな感情」

それは、ネットユーザーの「悔しさ」である。ネットの王者、というイメージ(だけ)が広まり、無敵艦隊のようになった石丸氏が、縦横無尽に動き回る様子を見て、苦々しく思っていたのではないか。ネットユーザーこそ、彼の躍進を認めなければならないのに、認めたくない、そんなアンビバレントな感情を抱えているように見える。

ただ、ここで「ネットユーザー」と、ひとまとめにするのは不正確だ。JX通信社の「長い時間を使うメディア」別の支持動向の調査・分析によれば、石丸氏はYouTubeの動画視聴者では1位であるのに対して、Xユーザーでは、小池、蓮舫、両氏に次ぐ3位にとどまっている。先に述べたように、YouTube上では、石丸氏の演説などの切り抜き動画が多く拡散されているからなのか、それとも、もともと彼の言動がYouTubeユーザーに刺さっているのか、どちらにせよ、彼の支持基盤はそこにある。

夜の路上でスマホを使用している人の手元
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なぜXとYouTubeで反応が分かれるのか

対して、Xでは、石丸氏は、それほど人気を集めていたわけではない。いつもどこかで誰かの揚げ足をとったり(炎上)、あるいは逆に、褒め称えたり(バズる)、といった、良くも悪くも「熱い」ユーザーの多いXには、石丸氏の言動は受けていないのだろう。YouTubeは、Xと比べれば炎上もバズも起こりにくい。動画の時間の長短にかかわらず、悪く言えば第三者的に、良く言えば素直で純粋な視聴者として、見ているだけ、だからである。

石丸氏自身も、Xのアカウントでは、ほとんどリプライ(返信)をしていない。いつも「レスバ」で盛り上がっているXユーザーにとって、彼は、ネット上で絶大なる人気を誇りながらも、ほぼ相手にしてもらえない「高嶺の花」だったのではないか。そこに今回の「石丸話法」が格好のネタとしてハマったのではないか。