俳句だけに残るかつての日本の春

しかし今、春の田んぼでカエルの鳴き声を聞くことはほとんどない。田んぼに水を入れるのは、田植えの前である。もちろん、それは昔も同じである。

稲垣栄洋『古池に飛びこんだのはなにガエル?』(辰巳出版)

しかし、排水技術の発達していなかった昔は、田植え前の冬の田んぼにもところどころ水たまりがあった。冬のカエルであるアカガエルは、そんな場所に卵を産んでいたのである。

しかし、土木技術の発達した現代では、春のカエルの声を聞くことはほとんど、できなくなってしまった。

アカガエルの仲間は、今では絶滅が心配されるほどに、数を減らしてしまっている。

今でもカエルは春の季語である。しかし、菜の花とカエルの春の風景は、もはや過去のものになってしまったのである。

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