“スルー状態”から挽回する方法とは

ただ、件名を工夫する以前に、単なるリマインドをすでに数回してしまい、スルーされた状態になってからかなりの時間が経過している場合、ここから挽回するにはどうしたらよいでしょうか。

目安としては、商談の会話に出てきたキーワードを出しても、お客様が忘れてしまっているぐらい時間が経っている状況です。このようなケースでおすすめしているのは、一見すると関係ないトピックについて情報提供するという「別件での価値訴求」です。

お客様の記憶からほとんど抜け落ちているぐらい時間が経っていたら、今度は逆に「まったくの別件」として、お役立ち情報のメールを送ります。

いったん直接的なリマインドは諦め、話題にも出さず、別件でのお役立ちを続けましょう。

以前に提案した件と切り離したお役立ちメールなら、純粋な貢献の行動になりますから、お客様としてもマイナスの感情は起こりにくいでしょう。そして、「お役立ちメール」にお客様のポジティブな反応があった場合、「情報がお役に立てて何よりです。ところで……」というように展開し、案件を復活させるのです。

以前の記憶が怪しくなっているお客様との案件では、これが「連絡する口実」という助け舟になるのです。

大企業は「導入実績や実例」を好んで読む

では、どのようなお役立ちメールだと喜ばれるのかについて、お客様1万人調査の結果からご紹介していきます。

第4章「忙しさの仮面」のところでもご紹介した設問、「あなたが営業担当者から受け取るお役立ち情報として嬉しいものは何ですか。嬉しい順番に、1位から3位までお答えください」について、回答者の会社の規模を「1~300人」「301~1000人」「1001人以上」と3段階に分けているのが次のグラフ(図表2)です。

図表=『営業の科学』より

本章では、大企業のお客様に見られる傾向についてすでに解説していますので、その観点から「喜ばれるお役立ち情報」を見てみましょう。

会社の規模が大きくなればなるほど、「導入実績や実例」「データの入った調査レポート」が喜ばれることがわかります。

「どの情報が響くか」については、お客様の会社の規模や相手のタイプ(論理・感情・政治)によっても変わってきます。メールに目を通し、役に立つ情報であると思ってもらえれば一定の確率で返信が来るので、もしお役立ちメールに返信が来ない場合は、件名と内容をいろいろと変えて試してみましょう。