粗食を真似させてしまった

ところが、沖縄にとって不運なことがありました。それは他の研究者も沖縄を調べていたことです。彼らは、沖縄の長寿の要因を「野菜と大豆と米の豊かな摂取にある」と断定しました。

全国平均をはるかに上回っていた「脂肪の摂取」については評価せず、取り上げもしませんでした。それどころか「沖縄は肥満度が高い」と断じ、栄養指導をし始めたのです。

その結果、どうなったと思いますか? それが図表3です。

コレステロールは下げるな』(幻冬舎新書)より

沖縄県民の脂肪摂取量は減り続け、全国平均を下回ってしまいました。そしてそれと比例するように、平均寿命の順位もぐんぐん下がっていきました。2020年には男性の平均寿命が、全国43位にまで落ちてしまったのです(女性もかつて1位だったのが16位)。

本来なら、長生きしていた当時の沖縄の食生活から学ぶべきです。ところが、あろうことか日本人の粗食のほうを真似させてしまいました。その結果、沖縄の人たちは早死にすることになったのです。

コレステロール値を下げる「大きなデメリット」

ここまで読んできて、どう思われたでしょうか? 「コレステロールが悪い」と一方的に決めつけるのはよくないな、と思った人も多かったと思います。

コレステロール値を下げたほうがいいのか、そのまま放っておいていいのか?

もしそんな疑問を持ったのなら、メリットとデメリットを比べてみるといいでしょう。コレステロール値を下げることで「得られるメリット」と「失うデメリット」を考えるのです。

和田秀樹『コレステロールは下げるな』(幻冬舎新書)

メリットは、心筋梗塞や動脈硬化のリスクを減らすことができる点です。

デメリットは、がんになりやすい、免疫力が下がる、病気になりやすい、意欲が低下する、うつ病や認知症になりやすい、お肌のうるおいやハリがなくなる、性機能も低下する、筋肉も低下する……など、キリがありません。

さらにデメリットを考える際には、薬による副作用も覚悟しなければならないでしょう。

第4章でくわしくお話ししますが、コレステロール低下薬の「スタチン」など、脂質低下薬は、副作用が多いことが知られています。服用後、ひどい筋肉痛に襲われ、我慢しながら生活している人も少なくありません。

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