アメリカの研究結果を鵜吞みにしてはいけない

アメリカは心筋梗塞で死ぬ国です。

日本はどうか?

がんで死ぬ国ですよね。ですから、そもそもアメリカの研究結果を鵜吞みにしてはいけないのです。しかも、フラミンガム研究では「コレステロールが増えるとがんの死亡率は下がる」という結果が出ていたわけです。

とんちんかんな参考の仕方をしたとしか思えません。しかも、いまだに初期の間違いが尾を引き、「コレステロールは害悪」という風潮が蔓延している。やはり、事実と異なる見解は訂正されるべきだと私は思っています。

古いフラミンガム研究を持ち出すまでもなく、近年の日本の研究でもそれは明らかです。『コレステロールは下げるな』27ページで紹介した図をもう一度掲載します(図表2)。

【図表2】総コレステロール値と死因(J-LIT一次予防群)
コレステロールは下げるな』(幻冬舎新書)より

本来は下げる必要のないコレステロールを下げたことで、がんの死亡率は上がっています。日本はがんで死ぬ国ですから、これはもう支離滅裂な話だとわかるでしょう。

みなさんは、この現実をどう思いますか?

私は高齢者医療の現場にいて「コレステロールは下げなくていい」と実感し、それを伝えているに過ぎません。また「実態調査の結果はこうですよ」と事実を伝えているだけなのです。

沖縄県民が長寿だった最大の理由

とてもショッキングな話を、さらにします。沖縄県の話です。

沖縄県は、戦前から長寿県として知られていました。

なぜ長生きなのか? というのは誰もが興味を持つことでしょう。前出の柴田博先生もその一人です。そして長期の追跡調査を行いました。その結果、以下のような結論に行き着きました。柴田先生の著書から引用させていただきます。

「沖縄の長寿のもっとも大きな要因は、日本全体がまだ肉不足にあえいでいた頃から肉をよく食べ、また脂肪摂取量が全国の平均を1日5gくらい上回っていたことです。冷蔵庫の普及の遅れた沖縄は、腐敗を防ぐためもあって油をよく使っていましたが、その分、食塩摂取量は全国一少なかったのです。

沖縄の食文化は、日本の他の地域と大きく異なっていました。それは長期間琉球王国として独立していて、日本の古代から始まった仏教の影響による肉食タブーの洗礼を受けずに済んだからです。(中略)

また、野菜やコンブを食する沖縄の食習慣も長寿に貢献しましたが、副次的と考えるのが妥当でしょう」

柴田先生は、寿命の短い秋田と比較するなどして丹念に実態調査を行い、以上のように結論付けたわけです。

沖縄料理のテビチ
写真=iStock.com/GI15702993
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