「家計のネック」教育費の再考
食生活にも「シンプル」が貫かれています。たとえば、毎日食べるサラダも、トマト、キュウリ、レタスなど何種類もの野菜が入ったコンビネーションサラダの出番が少ない。前菜の定番は、キュウリならキュウリだけの“単品野菜のサラダ”です。キュウリも人参も、単品のほうが本来の味が活きるというのが彼らの理屈です。
一般のフランス人家庭はまず外食をしません。朝食は夕食の残りのバゲットにバターとコンフィチュール、それに熱々のカフェオレだけ。お昼と夕食に欠かせないデザートにしても、市販のヨーグルトか果物。パン・オ・ショコラは高いから買わないで、残ったバゲットに板チョコを挟んで子供のおやつにします。塩味がちょっと利いたバゲットに安い板チョコを挟んだそれがまた、とくべつ美味しいんですよ。
シンプルな生活を心がけて余分なものを置かないので、狭くても住空間に余裕を感じます。わが国の不動産広告によくある、「広い収納スペース」って、おかしいですよ。袖を通さない服や、衝動買いしたまま使わないものを置く場所のために、高いお家賃や住宅ローンを払っているわけですからね。
余計なものに徹底してお金を使わないフランス人を見習い、家計のネックになっている教育費を再考してみましょう。「クラスの皆が行くから」という理由で、子供を塾に通わせて、子供の成績が上がるわけがない。それに塾の往復に費やす時間と月謝、なにより子供の疲労度を考えたら、塾に行かせる必要がないと、心ある親なら思うのではないですか?
軽くなった分の家計は、フランス人を見習って家族旅行に回しましょう。家族のコミュニケーションも取れ、豊かな人生に一歩近づけるはずです。
吉村葉子
神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒業。20年におよぶパリ生活にもとづき、よりよい生き方を提案している。